社会

人的資本

人権尊重

人権の尊重

基本的な考え方
HOYA グループのすべての役員と従業員、そして当社事業活動に関わるすべてのステークホルダーの人権を尊重し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」にのっとって人権への取り組みを進めています。

「HOYA行動基準」
「HOYA行動基準」では、HOYAグループの理念と価値観に基づき、業務を遂行するにあたり守るべき基本的な指針を定めています。基本的人権を尊重し、あらゆる企業活動において、人種、国籍、性別、宗教、信条、出生、年齢、心身の障がいなどによる差別や嫌がらせ(ハラスメント)を排除すること、そして児童労働、強制労働、人身売買の禁止を行動基準で明確にうたっています。また、従業員が安心して仕事に従事できる、安全かつ健全な職場環境づくりを目指しています。会社の提供する設備や制度・労働 条件を整えると同時に、社員一人ひとりが他者を尊重し、協力しあうことで働きやすい環境を作っています。
グローバルに事業を展開する当社の状況に鑑み27言語に翻訳し、グループ全社員を対象に年に一度eラーニングや確認テストなどを通してグループ内での周知徹底を図っています。また、内部監査を実施して、上記の手順が実施されていることを確認しています。2022年度グループ全従業員対象の本行動基準の順守に関する確認書の提出率は97%でした。

HOYAグループ人権方針
HOYAグループの企業理念、経営基本原則にのっとって、人権尊重の姿勢を明確に示すHOYAグループ人権方針を2022年10月に取締役会承認のうえ制定しました。当人権方針では当社を取り巻くステークホルダーとのパートナーシップも適用範囲に含め、国連「国際人権章典」、国際労働機関(ILO)「労働における基本的原則および権利に関する宣言」、 国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、国連「グローバル・コンパクト」の10原則といった国際的な原則やガイドラインを順守することを定めています。
そして、人権方針に基づいて、1)人権デュー・デリジェンスの実施、2)救済措置、3)ステークホルダーとの対話、4)啓発活動・教育、5)情報開示を通じて人権尊重を実践していきます。人権方針は、日本語と英語で会社ウェブサイト上に公開されており、各ステークホルダーに周知しています。

人権対応推進体制
チーフサステナビリティ(ESG)オフィサーの下、グループ本社のESG推進室が中心となりコンプライアンス、法務、人事部門など本社関連部門との連携をとりながら、人権に関するグループ全体の方針や計画立案、進捗状況の確認をタイムリーにおこなっています。また、チーフコンプライアンスオフィサー(CCO)を中心とした組織体制でグローバルでのコンプライアンスリスク管理を実行しており、労務関連のコンプライアンスや消費者(患者様)の安全・知る権利、プライバシー保護・個人情報管理、賄賂・腐敗といった人権関連課題を含むコンプライアンス全般に対応しています。活動や進捗状況は定期的に取締役会に報告され、取締役会からのフィードバックを活動に反映しています。

人権デュー・デリジェンス

人権課題(負の影響)の特定
当社グループのバリューチェーンにおける人権リスクを把握するため、2022年度は事業内容等を鑑み4事業部(メガネレンズ、医療用内視鏡、半導体用マスクブランクス、HDD用ガラスサブストレート)を選定し、外部専門家による専門的知見を得ながら、人権に関する国際規範やガイドライン*1・業界特性・国リスクなどの外部データ・事業部門や本社関連部門へのヒアリング結果を参考にしてステークホルダーごとに人権に及ぼす潜在的な課題・リスクの洗い出し・整理をおこないました。

*1 国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、ILO「労働における基本的原則および権利に関する宣言」、国連「グローバル・コンパクト10原則」、OECD「多国籍行動指針」など

各ステークホルダーの人権課題の特定
人権リスクアセスメントの結果、当社バリューチェーンにおいて各ステークホルダーに関連する潜在的な人権課題を特定しました。従前より実行している行動基準への理解を深める施策やハラスメント防止対策での教育研修などに加え、これまでの対応の強化、そして追加的な取り組みを継続して実施していきます。また、今後はアンケート調査を実施するなど、社内に加えサプライヤーなどバリューチェーン全体のステークホルダーを含む人権デュー・デリジェンスの仕組みを構築・強化していきます。

特定した各ステークホルダーに関連する潜在的な人権課題

項目

ステークホルダー

自社従業員
(製造部門)

自社従業員
(製造部門以外)

サプライヤー

消費者・患者

地域住民

労務コンプライアンス

差別の禁止

ハラスメント

ジェンダー

労働安全衛生

過剰・不当な労働時間

賃金の不足・未払

児童労働

強制労働

移民・外国人労働者の権利

法的救済へのアクセス

消費者の安全・知る権利

プライバシー保護と個人情報管理

環境・気候変動に関する人権

賄賂・腐敗

是正・苦情処理メカニズム
HOYAグループでは、内部統制システムの一環として、グループ内部からの通報‧相談を受け付ける「HOYAヘルプライン」を2003年から設置しています。各国に社外相談窓口を設置し、24時間多言語でのWeb受け付け、現地語で相談できる体制、匿名通報可能など、相談しやすい環境作りをおこなっています。法令に準拠したHOYAヘルプライン運用規定を作成し、通報者への不利益行為を禁止して通報者を保護し、匿名性を担保するために情報の機密性に配慮して対応しています。2022年度HOYAヘルプラインに寄せられた内部通報は170件で、そのうち職場環境に関連するものは54%、会社の制度に関連するものは25%でした。2022年度の内部通報のうち、当社事業に重大な影響を与える事案はありませんでした。

社外のお取引関係者様に対しては、HOYAサプライヤー行動基準に対する問い合わせ、通報の窓口を設置し、通報者保護、情報の機密性を配慮し適切に調査‧対応をおこなっています。
詳細は「コンプライアンス」をご覧ください。

社員への教育・研修
「HOYA行動基準」に関して、グループ全社員を対象に年に一度eラーニング・確認テストなどを実施し、グループ内での周知徹底を図っています。また、ハラスメントに関しても、未然に防止し、従業員の個人としての尊厳を守り、職場秩序の乱れや業務への支障を予防するための対策や指針を示したHOYAグループハラスメント防止対策ポリシー・ガイドラインを制定し、当ガイドラインや各国の法規制に基づく形で、グループ全社員を対象にハラスメント防止対策教育研修を実施し、国内においては階層別の研修もおこなっています。(2021年度国内ハラスメント防止対策研修・テスト受講率97%)

サプライチェーンの取り組み
当社グループでは、商品やサービスをご提供いただくお取引先様に対し、当社と同水準の法令順守と倫理的慣行をお願いするため、「HOYAサプライヤー行動基準」を作成し、受理・署名、順守をいただいています。当行動基準においては、強制労働・児童労働・差別やハラスメント・贈収賄の禁止、そして結社の自由・団体交渉権の尊重や労働安全衛生の確保などを定めてサプライヤーへ働きかけています 。また、責任ある鉱物調達の取り組みとして紛争鉱物調査を実施し、サプライヤーからの調査回答回収率やRMAP適合製錬業者数・比率の目標を設定の上、結果をモニタリングし、紛争鉱物に対するリスク低減に向けた取り組みを推進しています。
詳細は「サプライチェーン・マネジメント」をご覧ください。

消費者(患者様含む)の安全への取り組み
製品安全管理体制の強化を目的に、ヘルスケア製品に要求される国内外の基準、製品品質‧製品安全に関する諸法令や各種規範の順守を徹底するため、2022年度より社外取締役で構成されたヘルスケア・コンプライアンス委員会を運営しています。社外取締役から客観的な視点に立った助言を得て、また、必要に応じてヘルスケア製品(当社ライフケア製品群)にかかわる各国の法令に精通している専門家からもアドバイスを受けながら、規制対応担当者を中心として製品安全確保のための活動に取り組んでいます。
詳細は「製品安全品質管理指針・体制」をご覧ください。

プライバシー保護と個人情報管理への対応
「HOYA行動基準」において、個人のプライバシーを保護する権利の尊重や個人情報管理について定めており、HOYAグループ全社員を対象に情報流出漏えいを防ぐためのセキュリティ意識向上を目的としたサイバーセキュリティトレーニングをeラーニングで定期的に実施しています。また、2022年に個人番号および特定個人情報の取り扱いに関する基本方針を定め、関連法やガイドラインを順守する姿勢を明確にし、個人情報の取り扱いに関する問題の発生防止に取り組んでいます。

賄賂・腐敗への対応
「HOYA行動基準」に基づき、贈収賄・腐敗行為防止の取り組みを強化するために、2021年に贈収賄および腐敗行為禁止ポリシーを制定しました。本ポリシーでは、贈収賄・腐敗行為防止のためのルールや社内管理体制、研修を含めた施策等を具体的に定めています。また、従業員への教育も継続しておこなっています。

英国現代奴隷法への対応

HOYAグループは、2015年に英国で施行された現代奴隷法に基づき、奴隷労働や人身売買等を防止すべく取り組んでいる内容についての声明を公表しています。
(声明についてはこちらをご覧ください。(英文のみ。))