社会
当社は、人材を企業価値創造を支える重要な経営資本と位置付け、グローバルに多様な人材の活躍を推進しています。近年は、エンゲージメントサーベイを活用した職場改善や、従業員の主体的な成長と参画などを促進しています。さらに、自律性や創造性を引き出す人事制度や環境整備を進めることで、多様な人材によるイノベーション創出につなげています。
執行役 チーフサステナビリティ(ESG)オフィサー
中川 知子
人的資本
人権尊重
基本的な考え方
HOYAグループは、すべての役員と従業員および事業活動に関わるすべてのステークホルダーの人権を尊重し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」にのっとって人権への取り組みを進めています。
人権尊重の姿勢を明確にするため、取締役会の承認を経て「HOYAグループ人権方針」を制定しています。同方針では、国連「国際人権章典」、ILO「労働における基本的原則および権利に関する宣言」、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、国連「グローバル・コンパクト」の10原則などの国際的な原則・ガイドラインを基に定めています。
また、同方針に基づき、人権デュー・デリジェンス、救済措置、ステークホルダーとの対話、啓発・教育、情報開示を通じて、人権尊重の実践に取り組んでいます。 人権方針は、日本語と英語で会社ウェブサイト上に公開し、ステークホルダーへの周知を図っています。
行動基準
「HOYA行動基準」では、HOYAグループの理念と価値観に基づき、業務遂行にあたり守るべき基本的な指針を定めています。基本的人権の尊重、差別やハラスメントの排除、児童労働、強制労働、人身売買の禁止などを明確に掲げるとともに、従業員が安心して働ける、安全かつ健全な職場環境づくりを目指しています。
グローバルに事業を展開する当社の状況を踏まえ、同基準を27言語で整備し、グループ全社員を対象に年1回、eラーニングや確認テストなどを通じた周知を実施しています。また、内部監査を実施して、上記の手順が実施されていることを確認しています。2025年度グループ全従業員対象の本行動基準順守確認書の提出率は99.5%でした。
体制
人権に関するグループ全体の方針や計画の立案、進捗管理は、チーフサステナビリティオフィサー(CSO)の下、グループ本社のESG推進室が中心となり、コンプライアンス、法務、人事部門など本社関連部門と連携して進めています。
また、チーフコンプライアンスオフィサー(CCO)が統括するグローバルなコンプライアンスリスク管理体制の下、労務関連のコンプライアンス、消費者・患者の安全と知る権利、プライバシー保護‧ 個人情報管理、賄賂‧ 腐敗など、人権に関連する課題を含むコンプライアンスの対応を進めています。これらの活動や進捗状況は定期的に取締役会へ報告され、その監督の下継続的な改善を図っています。
人権デュー・デリジェンス
デュー・デリジェンス方針
人権への負の影響を特定・評価する基本的な考え方や仕組み、ならびに負の影響を防止・軽減・是正に向けた対応プロセスを明確化するため、取締役会の承認を経て「HOYAグループ デュー・デリジェンス方針」を制定しています。本方針に基づき、事業活動およびバリューチェーンにおける人権リスクの把握・評価を進め、負の影響の防止・軽減に向けた取り組みを推進しています。
人権課題(負の影響)の特定・評価
当社グループのバリューチェーンにおける人権リスクを把握するため、事業内容や外部環境などを踏まえて4事業部(メガネレンズ、医療用内視鏡、半導体用マスクブランクス、HDD用ガラスサブストレート)を対象に人権影響評価を実施しました。評価にあたっては、外部専門家の知見を得ながら、国際規範やガイドライン※1、業界特性 、国リスクなどの外部データに加え、事業部門や本社関連部門へのヒアリング結果を踏まえて、ステークホルダーごとの潜在的な人権課題を洗い出し、整理しました。
その後、継続的なステークホルダーとのエンゲージメントを通じて一部の課題について再評価を実施し、その結果を踏まえて人権課題の見直しをおこなっています。2025年度に見直した結果は以下の表のとおりです。なお、労務コンプライアンスにおける強制労働リスクについては引き続き評価を継続しており、今後も状況に応じて評価を更新していきます。
※1 国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、ILO「労働における基本的原則および権利に関する宣言」、国連「グローバル‧コンパクト10原則」、 OECD「多国籍企業行動指針」など
特定した主な潜在的な人権課題
項目 |
ステークホルダー |
|||||
|---|---|---|---|---|---|---|
自社従業員 |
自社従業員 |
サプライヤー |
消費者・患者 |
地域住民 |
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労務コンプライアンス |
差別の禁止 |
✓ |
✓ |
✓ |
||
ハラスメント |
✓ |
✓ |
✓ |
|||
ジェンダー |
✓ |
✓ |
✓ |
|||
労働安全衛生 |
✓ |
✓ |
||||
過剰・不当な労働時間 |
✓ |
✓ |
||||
賃金の不足・未払 |
✓ |
|||||
児童労働 |
✓ |
|||||
強制労働 |
✓ |
✓ |
||||
移民・外国人労働者の権利 |
✓ |
|||||
救済へのアクセス |
✓ |
✓ |
✓ |
✓ |
||
消費者の安全・知る権利 |
✓ |
|||||
プライバシー保護と個人情報管理 |
✓ |
✓ |
✓ |
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環境・気候変動に関する人権 |
✓ |
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贈収賄・腐敗 |
✓ |
✓ |
✓ |
✓ |
||
自社の潜在的な課題への対応
■自社従業員の賃金
自社従業員の賃金に関しては、グループ全体で各国の最低賃金を満たした適切な支払いがおこなわれていることを確認しています。また、法定最低賃金の順守にとどまらず、従業員が安心して生活できる水準の賃金の在り方について、引き続き整理を進めていきます。
■強制労働の防止
自社従業員における強制労働の防止に関しては、全従業員を対象としたアンケートを実施し、労働環境に関する実態把握をおこなっています。
■贈収賄・腐敗への対応
「HOYA行動基準」に基づき、贈収賄・腐敗行為防止の取り組みを強化しています。取締役会の承認を経て「贈収賄および腐敗行為禁止ポリシー」を制定し、防止のためのルールや管理体制、教育・研修に関する施策などを具体的に定めています。
同ポリシーおよび各事業部における関連方針に基づく運用状況は、内部監査部門により定期的に監査されています。併せて、全従業員を対象に「HOYA行動基準」の教育を実施するとともに、リスクが相対的に高いライフケア関連事業においては、事業特性に応じた固有の教育プログラムを継続して実施しています。
2025年度は、社外に公表すべき重大な腐敗・贈収賄防止法違反および政治献金とも0件でした。
不正行為が疑われる場合には、懲戒委員会規程に基づく手順を整備しています。担当部門による事実確認(関係者への聴取・証拠収集など)をおこない、その結果を踏まえて委員会の開催要否を判断します。
委員会では、当事者への弁明機会を確保したうえで審議を行い、所定の議決を経て処分内容を決定します。また、利害関係者の排除や機密保持などの規定を設け、公正性を確保しています。
そのほかの課題への対応については、以下の関連記事をご参照ください。
差別の禁止・ハラスメント › HOYA行動基準・ハラスメント防止
救済へのアクセス › HOYAヘルプライン(通報・相談窓口)
プライバシー保護と個人情報管理 › プライバシー保護
ジェンダー › ダイバーシティ&インクルージョン
労働安全衛生 › 安全衛生
サプライチェーンへの取り組み
■HOYAサプライヤー行動基準
HOYAグループでは、サプライヤーに対し、当社と同水準の法令順守および倫理的な事業慣行の実践を求めるため「HOYAサプライヤー行動基準」を策定し、受理・署名および順守をお願いしています。サプライチェーンにおける人権・環境問題への関心の高まりや責任ある調達の重要性を踏まえ、2024年度に同基準を改定しました。
改定後の基準では、強制労働、児童労働、差別・ハラスメント、贈収賄の禁止に加え、結社の自由・団体交渉権の尊重、労働安全衛生の確保、環境保護への配慮などを定めています。HOYAグループは、引き続きサプライヤーに対して行動基準の順守を求めていきます。
また、責任ある鉱物調達については、紛争鉱物調査を実施し、サプライヤーからの調査回答回収率やRMAP適合製錬業者数・比率の目標に基づくモニタリングを通じて、サプライチェーンリスク低減に向けた取り組みを推進しています。
■事業部門における先行的な取り組み
一部の事業部門では、グループ全体の取り組みに先行して、サプライチェーンにおける負の影響を特定・評価する取り組みを進めています。
MD事業部では、サプライヤーによるThe Responsible Business Alliance(RBA)の行動基準の順守状況について、取引開始時および取引開始後に定期的に確認し、人権リスクを含むサプライヤー評価をおこなっています。
また、PENTAX Medicalでは、サプライヤーの人権リスクの特定・評価に向け、グローバル展開に先立ち、欧州に所在する一部法人においてアンケート調査を実施しました。人権方針・宣言書の有無やネガティブニュースの有無などを確認し、その結果を踏まえてサプライヤーとのエンゲージメントを実施することで、潜在的な負の影響の低減に努めています。
今後は、各事業部門の取り組みをグループ全体で統合・展開することを視野に入れ、より幅広いステークホルダーを対象とした人権課題の特定や、エンゲージメントを通じた協働の促進に取り組んでいきます。
消費者・患者の安全
製品安全管理体制の強化を目的に、ライフケア製品に要求される国内外の基準や、製品品質・製品安全に関する法令・規範の順守を徹底するため、2022年度より社外取締役で構成されたヘルスケア・コンプライアンス委員会を運営しています。社外取締役の客観的な助言や、必要に応じた専門家の助言を受けながら、規制対応ならびにコンプライアンス担当者を中心に製品安全確保のための活動に取り組んでいます。
是正・苦情処理メカニズム
コンプライアンスシステムの一環として、グループ内外からの通報・相談を受け付ける「HOYAヘルプライン」を2003年より設置しています。取引先の従業員を含むグループ内外からの通報を受け付け、法令や「HOYA行動基準」に違反する行為が疑われる場合には、通報者の保護を図りながら早期に問題を把握し、迅速かつ適切に対応することで、グループ全体の健全な事業運営に努めています。
HOYAヘルプラインでは、24時間対応の多言語でのウェブ受け付けや、現地語で相談できる体制、匿名での通報を可能とする仕組みなど、誰もが安心して相談・通報できる環境を整備しています。また、法令に準拠したHOYAヘルプライン運用規定に基づき、通報者に対する不利益な取扱いを厳格に禁止し、通報内容および通報者情報の機密性確保を徹底しています。通報の状況や対応状況については、CCOから監査委員会へ四半期ごとに報告しています。
2025年度のグループ内外からの通報のうち、当社事業に重大な影響を与える事案はありませんでした。
社員への教育・研修
HOYAグループでは、人権を含むコンプライアンスに関する理解と意識の向上を目的として、継続的な教育・啓発活動を実施しています。「HOYA行動基準」については、グループ全社員を対象に年1回、eラーニングや確認テストを実施し、グループ内での周知徹底を図っています。
また、従業員の尊厳の尊重とハラスメントのない職場環境の実現に向けて、「HOYAグループハラスメント防止対策ポリシー・ガイドライン」を制定しています。同ガイドラインおよび各国の法規制に基づき、グループ全社員を対象としたハラスメント防止教育を実施するとともに、管理職を対象とした階層別研修も行っています。
英国現代奴隷法への対応
HOYAグループは、2015年に英国で施行された現代奴隷法に基づき、奴隷労働や人身売買などを防止すべく取り組んでいる内容についての声明を公表しています。