HOYAのESG

ESG/サステナビリティガバナンス体制

ガバナンス
当社は指名委員会等設置会社の体制をとっており、取締役会はモニタリングボードとして、執行側を監督し、グループ全体の経営方針に関する重要事項を審議し決定しています。経営に対する監督機能と客観性を担保するため、2022年度では取締役8名中6名を独立社外取締役としています。社外取締役には経営者としての十分な経験や国際感覚に加え、6名中3名は「人材育成/ダイバーシティ」のバックグラウンドをもつ人物を選定、また気候変動に関してもマネジメントとして気候変動に対する重要な意思決定をおこなった経験を有する人物を配しています。

当社グループのサステナビリティに関する基本方針、マテリアリティ、TCFDやRE100などの重要施策はESG推進室において起案し、取締役会で審議・決定しています。また、取締役会は、チーフサステナビリティ(ESG)オフィサーから気候変動への対応を含むサステナビリティ関連課題に関し定期報告を受け(2022年度においては4回)、多角的な観点から助言をおこなっています。また、HOYAグループ全体の人事施策についてはグループCHROが定期的に取締役会に報告をおこなっています。

なお、ポートフォリオマネジメントによる事業部制での経営をおこなっていることから、各事業部の気候変動や人的資本を含むサステナビリティ関連課題への具体的な対応方針は各事業の経営戦略、経営計画、年間予算に反映されており、取締役会で承認・決定されます。また、各事業部にもサステナビリティ/ESG担当チームを設け、グループ目標に整合した目標・KPIをCSOと協議のうえ、各事業部が設定し、活動や進捗はCSOから取締役会へ報告され、取締役会によりモニタリングされています。

なお、2022年度より、執行役報酬の中長期インセンティブであるパフォーマンス・シェア・ユニット(PSU)においてESG指標を導入し、外部機関による評価や重視するESGテーマの取り組み状況に応じた目標を設定しており、さらに翌年度からは各事業の事業部長の年次インセンティブについても各事業部で設定したESG関連目標のうち重要なKPIを評価項目(例:再エネ比率)とするなど実効性を高めています。

リスク管理
グループ本社にコンプライアンス、薬事規制対応、サイバーセキュリティー、安全衛生など当社にとってリスクの大きいと考える機能について責任者を置き、事業部ごとにおける同機能の責任者を通じてリスクの特定と予防をおこない、年に一度グループ本社の各責任者より取締役会に報告されています。気候変動に関しては、本社TCFDプロジェクトと事業部がTCFDシナリオ分析に基づき、それぞれの事業部門に適した対応策を策定・実行しています(2022年度はメガネレンズ事業とHDDガラス基板事業で分析を実施)。

サステナビリティ/ESG組織体制

イメージ

サステナビリティ方針

当社のサステナビリティに関する基本的な姿勢・方針を明文化し、サステナビリティ活動を一段と推進させることを目的として、2022年5月にHOYAグループ サステナビリティ方針を制定しました。

私たちは経営理念のもと、経営基本原則の実践を通じて、持続可能な社会の実現に貢献し、中⾧期的な企業価値の向上を目指します。

  • 事業のイノベーションを通じて、グローバルな社会的課題の解決に貢献することを目指します。

  • ステークホルダーとの対話を通じて信頼関係を築き、公正かつ透明性の高い経営を実現します。

  • 次世代によりよい地球環境を引き継ぐため、事業活動における環境負荷の低減に努めます。

  • サプライチェーンを含む事業活動に関わる全ての人々の人権を尊重し、人権侵害の未然防止に努めます。

  • 新たな価値創造を目指して、社員のウェルビーイングを重視した、多様な人材が活躍できる環境作りに努めます。

当社 経営理念、経営基本原則・ビジョンはこちらをご参照ください。

マテリアリティ(重要課題)

社内で議論、検討を進めてきた当社グループの中長期的な成長に資する項目(マテリアリティ)について、2021年9月に取締役会にて承認を得て4つのマテリアリティを特定しました。

マテリアリティ特定プロセス

課題の把握→候補選定→評価→マテリアリティの特定
  • 当社事業に関連する社会の変化・課題の把握

  • ESG評価機関による当社評価の分析、国際的なガイドライン※1の参照

  • 事業部マネジメントへのヒアリング

  • 当社事業が該当するSASB※2の業種別マテリアリティ※3を使用し、ステークホルダーにとっての関心と当社事業インパクトの2軸での評価(マッピング)により候補を選定

  • 重要なステークホルダーである国内外投資家から得た意見・フィードバックを参考にし、社内で議論を深めて総合的に評価

  • 特定した4つのマテリアリティを取締役会にて承認

※1. SASB, GRI, IIRC, ISO26000, TCFD, RBA, CDP

※2. Sustainability Accounting Standards Board

※3. 業種:医療機器、ハードウェア、半導体

特定したマテリアリティ

上記のプロセスを経て、当社における4つのESGマテリアリティを特定しました。

イメージ

マテリアリティのリスクと機会

マテリアリティ選定の過程において、グローバルな社会課題や当社が置かれている事業環境を考慮し、以下のリスクと機会について検討・議論をおこないました。

マテリアリティ

リスク

機会

温室効果ガス(CO2)削減

  • 法規制や業界ルール、顧客からの要望の厳格化、またそれらに対応できない場合、製品・サービスの競争力低下や社会的信用の低下

  • 炭素税、排出量取引制度などカーボンプライシング導入の拡大

  • 省電力に対応した生産プロセスによるコスト減

製品品質・安全

  • 製品の不備・不具合の発生や法規制・規格への順守不備の事故が起こった場合、リコール費用の発生や社会的信用の低下

  • 製品品質安全に関する法規制・規格等の厳格化

  • 法規制や業界ルールなどへの徹底した順守・健全な事業活動の実施による企業価値向上への貢献

従業員エンゲージメント・ダイバーシティ&インクルージョン

  • 優秀な人材確保の世界的な競争激化

  • 多様な人材の確保・育成による価値創造イノベーション機会の増加

サプライチェーンマネジメント

  • サプライチェーン上の法令違反や人権侵害などの影響による取引停止、社会的信用の低下

  • サプライヤーとの信頼関係の構築による安定的な部材供給の確保、持続可能な生産体制の確立

マテリアリティに対するアプローチ・施策

マテリアリティ

アプローチ

施策

関連するSDGs

温室効果ガス(CO2)削減

CO2削減の中長期目標を設定し、それに向けたロードマップを作成する。
目標達成に向けた施策・KPIを設定し、着実に実行・モニタリングしていく。

  • エネルギー効率の高い生産設備への更新

  • 再生可能エネルギー導入の検討・推進

  • 照明LED化、社用車エコカー推進 等

  • TCFDに基づいた開示の推進

7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を

製品品質・安全

お客様に、より有効かつ安全に製品を使用していただくため、特にメディカル製品を取り扱うライフケア事業において製品安全品質管理体制や業務の継続的な見直しと改善を行う。

  • 規制変更に対応した継続的な品質マネジメント体制の強化

  • 社内QMS監査の強化によるISO9001/13485適合維持

12.つくる責任つかう責任

従業員エンゲージメント・ダイバーシティ&インクルージョン

多様な社員が働きがいを感じながら能力を最大限発揮し、社員の成長が会社の成長にもつながるような職場環境作りを目指す。

  • 従業員エンゲージメント調査、結果分析からの対応施策の実施

  • みんなが活躍できる職場づくり[みんかつ]プロジェクトの推進 (主に国内対象)

5.ジェンダー平等を実現しよう
8.働きがいも経済成長も
10.人や国の不平等をなくそう

サプライチェーンマネジメント

HOYAサプライヤー行動基準を基本とし、自社のみならずサプライチェーンにおける法令順守や人権保護の観点からも適切な管理を行う。

  • HOYAサプライヤー行動基準への順守の働きかけ・署名の取得

  • 紛争鉱物調査

8.働きがいも経済成長も
16.平和と公正をすべての人に

・マテリアリティの施策や目標・指標に関しては、社内での議論や取り組みを進めていく中で追加での設定・見直しをおこなっていきます。

・当社の事業内容は多岐にわたっていることもあり、共通のマテリアリティのほかに、各事業部におけるサステナビリティ/ESGに対する個別の課題についても議論‧検討を併せて進めています。