生物多様性
TNFD提言に基づく自然関連情報開示
HOYAグループは「サステナビリティ方針」に基づき、事業活動における環境負荷の低減に取り組んでいます。近年、自然資本への依存および影響の適切な把握・管理の重要性が高まっていることを踏まえ、自然関連リスクおよび機会への対応を強化しています。本取り組みは、従来の環境分野におけるリスク管理プロセスと統合し、全社的な枠組みの中で推進しています。
こうした認識の下、自然資本への対応を体系的に推進するため、2025年度よりTNFD提言に基づくLEAPアプローチを活用した評価を開始しました。
まずは、自社の製造拠点を対象に、LEAPアプローチに沿って「Locate(発見する)」および「Evaluate(診断する)」の段階までの分析を実施し、自然との接点や、自然資本への依存・影響に関する重要項目を把握する初期評価をおこないました。評価にあたっては、拠点ごとの地理的特性に応じた地域別アプローチを採用し、依存と影響の両面から分析を実施しています。
今後は、評価対象の拡大や分析の深化について検討を進めながら、自然関連リスク・機会への理解を深めていきます。また、その成果を踏まえ、自然資本に関するリスク管理のあり方や情報開示の充実についても継続的に検討していきます。
LEAPアプローチに沿った評価プロセス
Locate(発見)
約60の生産拠点を対象に、水ストレス、生物多様性、保護区との関係性について、外部データベースを活用した環境リスク評価を実施しています。その結果、一部の海外拠点で比較的高い水ストレスが確認されたものの、水使用リスクの集中度は限定的であり、現時点で重大な影響は認められていません。また、生物多様性重要地域や法的保護区との直接的な重複は確認されず、土地利用による影響は限定的と評価しています。今後も継続的なモニタリングと分析の深化を通じて、環境リスク管理の強化に取り組みます。
使用データ |
|
|---|---|
水ストレス |
Aqueduct Water Risk |
生物多様性 |
IBAT 生物多様性重要地域 |
保護区 |
Protected Planet |
Evaluate(診断)
ENCORE(事業と自然資本の関係を依存および影響の観点から評価するツール)を活用し、当社事業における自然資本への依存および影響の重要度を評価しました。
依存の観点では、ライフケアセグメントの一部事業において、水質浄化、水供給、水流調整などの水関連の生態系サービスへの依存度が比較的高いことが確認されました。当社のメガネレンズ以外のライフケア製品は、水への依存度は限定的であるものの、情報・通信セグメントについては、水使用量の多い事業も存在することから、水資源の適切な管理が重要な課題であると認識しています。
また、影響の観点では、ライフケアおよび情報・通信の両セグメントにおいて、大気・土壌・水域への排出に関する項目が重要な管理対象として評価されました。今後も、法令順守の徹底に加え、水環境や生物多様性への潜在的な影響も踏まえ、継続的な管理と環境負荷低減に取り組んでいきます。
セグメント |
事業部 |
ISIC |
依存 |
|||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
調整・維持サービス |
||||||||
土壌および |
水質浄化 |
洪水緩和 |
水供給 |
暴風・嵐の |
水流調整 |
|||
ライフケア |
メガネレンズ |
医療機器 |
VH |
M |
H |
M |
H |
|
医療用内視鏡 |
内視鏡 |
M |
M |
M |
M |
M |
||
コンタクトレンズ |
小売 |
M |
M |
M |
M |
|||
情報・通信 |
HDD用ガラス基板 |
磁気媒体 |
M |
M |
M |
M |
M |
|
半導体ブランクス・ |
基盤 |
M |
M |
M |
M |
M |
||
映像関連製品 |
光学機器 |
M |
M |
M |
M |
M |
||
セグメント |
事業部 |
ISIC |
影響 |
||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
攪乱 |
気候変動 |
汚染 |
資源採取 |
||||
騒音・光など |
温室効果 |
GHG以外 |
土壌・水域 |
水使用量 |
|||
ライフケア |
メガネレンズ |
医療機器 |
M |
H |
M |
M |
|
医療用内視鏡 |
内視鏡 |
M |
M |
H |
M |
M |
|
コンタクトレンズ |
小売 |
M |
M |
||||
情報・通信 |
HDD用ガラス基板 |
磁気媒体 |
M |
M |
H |
M |
M |
半導体ブランクス・ |
基盤 |
M |
H |
H |
|||
映像関連製品 |
光学機器 |
M |
M |
M |
M |
M |
|
空欄…L未満(L、VL、N/A、ND)、M…Middle、H…High、VH…Very High
L未満の項目に対しては表示していません。
上記の分析結果から、現時点において当社事業に重大な自然関連リスクは確認されていないものの、水資源への依存や事業活動に伴う環境負荷を通じて、自然資本と一定の関係性を有していることが確認されました。特に、気候変動、水資源、廃棄物管理は、自然資本との依存および影響の両面から相対的に重要性の高い項目として評価しています。
これらの領域は、従来より当社が環境重要課題として管理しているテーマと整合しており、既存の取り組みが自然関連リスクの低減および自然環境への影響の抑制にも寄与していると考えています。
今後も、重点領域における取り組みを継続するとともに、自然資本への依存および影響の双方の観点から分析の高度化を図ることで、潜在的なリスクおよび機会の把握ならびに適切な対応を強化していきます。
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事業部における生物多様性関連活動
各拠点では、地域特性に応じて植樹や清掃活動、地域の環境保全活動への参加など、生物多様性保全に関する取り組みを実施しています。こうした活動を通じて、自然との共生と従業員の環境意識向上を推進しています。
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タイにおけるマングローブ植林を通じた生物多様性保全活動
HOYAビジョンケアカンパニー(メガネレンズ)では、従業員の主体的なサステナビリティ活動を推進する「One Vision」の取り組みの一環として、生物多様性保全および生態系の回復に取り組んでいます。「One Vision」は、全世界の各拠点で従業員が中心となって環境・社会課題の解決につながる活動を企画・実践するもので、多くの社員が積極的に参加しています。
その代表的な活動として、メガネレンズの主要生産拠点のひとつであるタイにおいて、2016年からマングローブ植林や森林再生活動を継続的に実施しています。地域コミュニティや行政機関と連携しながら、沿岸域や森林の生態系保全と回復に取り組んでいます。
また、マングローブや森林の再生に加え、海洋生物の生息環境の整備を目的とした「Crab Condo」の設置や、野生動物のための餌木の植樹など、多様な生態系を対象とした活動も展開しています。これらの活動には多くの従業員がボランティアとして参加しており、生物多様性保全への貢献とともに、環境意識の向上や地域社会とのつながりの強化も果たしています。
これまでに、約3,000本の植林、約2,100本のマングローブ植林に加え、野生動物のための餌木約200本の植樹や、カニの生息環境となる「Crab Condo」40基の設置を実施しました。これらの活動には、約500名の従業員が参加し、累計ボランティア活動時間は3,800時間を超えています。また、植林活動による年間CO₂吸収効果は約70トンと試算されています。
事例動画: › Mangrove Afforestation by HOYA Vision Care in Thailand
