気候変動image

気候変動への対応

HOYAグループでは、「気候変動への対応」をマテリアリティのひとつと位置付け、温室効果ガス(GHG)排出量の削減と事業のレジリエンス向上に取り組んでいます。2023年にはTCFD提言に基づく情報開示を開始するとともに、RE100へ加盟し、2040年度までに使用電力の100%を再生可能エネルギーで調達する目標を設定しました。これらの取り組みを通じて、気候変動への対応と脱炭素化を推進しています。

RE100 CLIMATE GROUP|CDP

温室効果ガス排出量削減 中長期目標・実績

HOYAグループのGHG排出量は、スコープ1・2排出量の9割以上は購入電力に伴うスコープ2が占めています。そのため、再生可能エネルギー由来の電力(以下、再エネ電力)への切り替えを重点施策として推進し、GHG排出量の削減に取り組んでいます。
HOYAグループは、2040年度までに使用電力の100%を再エネ電力で調達することを目標としており、中間目標として2030年度までに再エネ電力比率60%の達成を目指しています。
また、再エネ電力導入をはじめとする排出削減施策を通じて、スコープ1・2排出量についても2021年度比で2030年度までに60%削減、2040年度までに100%削減することを目標としています。
目標達成に向けて、各事業部において再エネ電力導入およびCO₂排出削減に関する中長期ロードマップを策定し、具体的な施策の実行を通じて目標達成に向けた取り組みを進めています。

CO₂排出量・再エネ電力比率

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  1. 2021年度以降、GHG排出量(スコープ1 ‧ 2、エネルギー消費量)は限定的保証業務により第三者検証を実施しています。2021年度の数値においては検証過程で算出方法およびCO₂換算係数の見直しを実施し、2023年2月に開示数値を修正しました。

  2. スコープ1については、最大限の削減努力をおこなったうえでの残余排出量に対して、カーボンクレジットによるオフセットを検討します。

2025年度のスコープ1・2排出実績は、スコープ1が23千t-CO₂、スコープ2(マーケット基準)が347千t-CO₂ となり、スコープ1・2の合計排出量は370千t-CO₂でした。基準年度(2021年度)と比べ、約29%削減となります。
各事業で生産量が増加する中においても、再エネ電力の導入拡大や省エネルギー施策を継続的に追伸した結果、連結売上高当たりの排出量原単位は前年度比で16%改善しました。また、主要事業において環境KPIとして管理している製品当たりの消費電力量についても改善が進み、エネルギー利用効率の向上につながっています。
さらに、再エネ電力比率は前年から8ポイント上昇し27%となりました。再生可能エネルギーの活用拡大と省エネルギーの推進を両輪として、事業成長と環境負荷低減の両立を図りながら、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

  • ※2025年度より、スコープ1において、非エネルギー由来の温室効果ガス排出量を含めています。(スコープ1・2合計の約1%)

› ESGデータブック Environment

再生可能エネルギーの導入拡大

HOYAグループでは、各生産拠点や販売拠点において再エネ電力への切り替えを進めています。生産拠点では、自家消費型やオンサイトPPAによる太陽光発電設備の導入を継続的に拡大するとともに、電力契約の見直しやエネルギー属性証書の調達により再エネ化を推進しています。
再エネ導入にあたっては、関連する法令・制度や拠点ごとの制約条件を整理したうえで、最適な導入手法を選定しています。また、2026年3月には、日本の昭島工場においてオフサイト・コーポレートPPA契約を締結しました。こうした取り組みでは、再エネ電源の追加性にも配慮した調達を重視しています。
ビジョンケア事業(メガネレンズ)では、国内の松島工場をはじめ国内全拠点と複数の海外拠点において、使用電力の実質100%再エネ化を達成しています。また、コンタクトレンズ専門店アイシティの全店舗・オフィスとHOYAグローバル本社(日本)においても、FIT非化石証書の調達により実質100%再エネ化を実現しています。

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HOYA LAMPHUN LTD.に設置した太陽光パネル(年間発電量:約2,200MWh、年間CO₂削減効果:約1,000t-CO₂)

エネルギー効率向上の取り組み

GHG排出量削減に向けて、再生可能エネルギーの導入拡大に加え、生産拠点におけるエネルギー効率の向上に取り組んでいます。高効率設備への更新や、ボイラー・空調設備などの設備運転条件の最適化を通じて、エネルギー使用量の削減を推進しています。
また、主なエネルギー消費源が電力であることから、生産拠点では設備ごとの電力消費量を可視化し、エネルギーロスの特定や設備更新の優先順位付けなどの省エネルギー施策の立案に活用しています。

エネルギー効率向上目標
事業部では、事業特性に応じてエネルギー原単位を主要KPIとした省エネルギー目標を設定し、省エネ設備の導入や生産工程の効率化を進めています。国内事業所については、省エネ法の考え方に基づき、2022~2026年度の5年間平均でエネルギー原単位を年1%以上改善する共通目標を定めています。各事業部はこの方針に沿って目標管理と進捗モニタリングを実施しています。

中長期ロードマップに基づく設備投資
これらの取り組みを着実に推進するため、事業部では2030年度を見据えた再エネ導入および省エネルギー施策に関する設備投資計画を策定し、毎年見直しをおこなっています。再エネ比率目標や関連する設備投資計画は、予算サイクルの中で取締役会の承認を経て実行され、グループ全体で脱炭素化を推進しています。

  • 設備の電力効率可視化による投資計画の策定
    タイのコンタクトレンズと眼内レンズ生産拠点では、工場内の全電力設備を対象に1カ月間の消費電力量を測定・分析しました。設備ごとの電力効率を可視化するとともに、最新設備との性能比較をおこない、その結果を踏まえた設備投資計画の策定につなげています。

  • 高効率設備への更新による省エネルギー化
    一部のメガネレンズの生産拠点では、射出成型機を油圧式から電力式へ更新することで、エネルギー使用量とCO₂排出量の削減を実現しました。また、別の拠点では、工場全体の電力消費の大きな割合を占めていた空冷チラーを高効率なマグネット式水冷チラーへ更新し、CO₂排出量を約4割削減しました。これらの取り組みを通じて、各拠点ではエネルギー効率の評価結果に基づく設備投資を推進し、継続的な省エネルギー化を進めています。

サプライチェーン全体でのCO₂排出量算定と削減の取り組み

当社は製造業を中心に事業を展開しており、多くの原材料や部品を調達していることから、サプライヤーの製造工程における排出量(スコープ3カテゴリ1)が主要な排出源となっています。また、当社製品の多くは中間部材として顧客企業でさらに加工されるケースがあるため、販売後の加工工程に伴う排出量(スコープ3カテゴリ10)も大きな割合を占めています。
スコープ3の排出量の削減に向けては、データ収集の効率化と精度の向上を図るとともに、サプライヤーや顧客とのエンゲージメントを強化し、サプライチェーン全体での排出量の削減に取り組んでいきます。また、国際的な気候目標との整合を図るため、SBT(Science Based Targets)認定の取得を目指しています。

アイテム

2025年度実績
(千t-CO₂)

割合

★スコープ1

23

1%

★スコープ2

ロケーション基準
マーケット基準

460
347


15%

スコープ3

合計

2,005

84%

★カテゴリ1

651

33%

カテゴリ2

27

1%

カテゴリ3

105

5%

カテゴリ4

90

4%

カテゴリ5

39

2%

カテゴリ6

12

1%

カテゴリ7

15

1%

カテゴリ8

0

-

カテゴリ9

17

1%

★カテゴリ10

1,001

50%

カテゴリ11

14

1%

カテゴリ12

18

1%

カテゴリ13

0

-

カテゴリ14

0

-

カテゴリ15

16

1%

GHG排出量

合計

2,375

100%

★ 第三者保証を取得したデータ

スコープ別排出量割合

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スコープ3カテゴリー別排出量割合

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アイテム

削減施策

スコープ1

・省エネルギー設備への更新、ボイラー・空調設備の運用最適化

・電化設備への切り替え検討

スコープ2

・省エネルギー設備への更新

・再生可能エネルギーの導入拡大

・エネルギー使用の最適化

スコープ3

カテゴリ1
(購入した製品・サービス)

・サプライヤーと連携し、排出量の可視化や省エネ・再エネ化を推進

カテゴリ3
(燃料・エネルギー活動)

・省エネルギー活動の推進

・再生可能エネルギーの導入拡大

※スコープ1・2と連動

カテゴリ4
(上流輸送・配送)

・輸送ルートや配送頻度の最適化を進め、航空便から船便へのモーダルシフトを推進

・包装の小型化・軽量化による輸送効率の向上

カテゴリ5
(事業活動から出る廃棄物)

・生産廃材の再資源化、埋立回避の推進

› 廃棄物削減

カテゴリ10
(顧客側での加工)

・顧客と協働し、加工工程の低炭素化を推進

カテゴリ12
(販売した製品の廃棄)

・包装材の使用量削減、単回使用プラスチックの削減

› 廃棄物削減

TCFD提言に基づくシナリオ分析

2022年度より、TCFD提言に基づくシナリオ分析を開始しました。初年度は、CO₂排出量(電力消費量)の多い2事業部門(メガネレンズ‧HDDガラス基板)に焦点を当て、主要生産拠点であるタイおよびベトナムの工場を対象に、 2030年度を時間軸とした4℃/1.5℃シナリオによる分析を実施しました。2023年度には、分析対象をさらに拡大し、オプティクス事業部(光学レンズ)もシナリオ分析の対象に加えました。これら3事業部のCO₂排出量の合算は、 HOYAグループ全体の約88%を占めています。 また、当社が重要な気候変動リスクと位置付けている物理的リスク(洪水)については、全事業の製造拠点に対してリスク評価を実施しています。
今後も、外部環境の変化に応じて定期的な見直しをおこない、シナリオ分析の結果を事業活動に反映させることで、リスクおよび機会への対応を強化し、気候変動に対するレジリエンスの向上を図ってまいります。

メガネレンズ事業部のリスクおよび機会の一例

内容

対応策

 移行リスク

・消費者の気候変動に対する意識向上への対応遅滞による市場シェア低下と売上減少

・顧客のサプライヤー選定に気候変動対策/情報開示が導入され、これに遅滞した場合の顧客喪失、売上減少

・CO₂排出量削減や水リサイクルなどの環境関連課題への不十分な対応によるレピュテーション低下と売上減少

・製品へのCO2排出量表示検討‧マーケティング戦略の見直し:製品イノベーションを通じた気候変動影響低減、情報発信強化

・顧客をはじめ、外部ステークホルダーに対するESGの進捗状況の定期的な報告

・TCFDやCDP開示など、気候変動関連の情報開示の拡充

 物理リスク

異常気象をきっかけとした感染症の発生による生産活動やサプライチェーンの乱れ、ロックダウンなどの行動制限による顧客であるメガネ小売店の営業制限による需要減

・自社工場に関するBCPの策定とアップデート

・生産拠点の分散化

異常気象による生産や販売活動の停滞、洪水による生産拠点の水没や損壊

・生産拠点分散と個々の水害対策の推進

・材料や在庫の確保をはじめとするBCPの策定

 機会

低炭素製品へのニーズが高まり、製品開発にいち早く成功することで売上が増加

・カーボンフットプリントの表示

・環境負荷低減のマインドセットの製品を開発戦略へ組み込む

・材料メーカーとの連携

リサイクル/リユースが容易な製品へのニーズが高まり、製品開発にいち早く成功することで売上が増加

・リサイクル/リユースが容易な製品へのニーズが高まり、製品開発にいち早く成功することで売上が増加

DXなどによる製造工程の効率化の実現

・生産効率向上によるCO₂削減と関連コストの削減

・DXならびにDXトレーニングへの投資

BCP策定、自社生産拠点と仕入先の多様化

・BCPの導入と訓練

・各工場の改修、拠点の地理的分散など

HDD用ガラス基板事業部のリスクおよび機会の一例

内容

対応策

 物理リスク

異常気象をきっかけとした感染症の発生による生産活動やサプライチェーンの乱れ、顧客の工場稼働低下による需要減

・自社生産拠点に関するBCPの策定とアップデート

・生産拠点の分散化の推進

・顧客先での気候変動リスクを低減するプランの検討

 機会

ESGや気候変動への取り組みと情報開示により金融市場での評価向上、資金調達コスト低減

・TCFDでの開示とESG開示への展開

・CDPでの開示とランクアップ

低炭素製品へのニーズが高まり、製品開発にいち早く成功することで売上が増加

・カーボンフットプリントの表示

・製品戦略の見直し

・技術開発予算の増額

・材料メーカーとの連携

地球温暖化による水資源不足の結 果、水の再利用‧ 使用量削減技術を開発し、費用を削減

・使用水量の少ない製造方法の確立

・水の高度処理技術導入、再利用増

DX等による製造工程の効率化の実現

・生産効率向上によるCO2削減と関連コストの削減

・DXならびにDXトレーニングへの投資

BCP策定、自社生産拠点と仕入先の多様化

・BCPの導入と訓練

・各工場の改修、拠点の地理的分散など

オプティクス事業部(光学レンズ)のリスクおよび機会の一例

内容

対応策

 物理リスク

異常気象‧ 自然災害による原材料調達先の操業停止に伴う納期遅延‧ 生産量減少

在庫の確保(特に調達先が限定される重要部材の場合)

重要部材の複数調達先の確保

異常気象をきっかけとした感染症の発生による生産活動やサプライチェーンの乱れ、顧客の工場稼働低下による需要減

自社工場に関するBCPの策定とアップデート

他拠点での生産バックアップ体制の整備

異常気象による生産や販売活動の停滞、洪水による生産拠点の水没や損壊

生産のバックアップ体制と水害対策の推進

材料や在庫の確保をはじめとするBCPの策定

リスク管理体制
当社は、気候変動を取り巻く外部環境や規制動向を継続的にモニタリングし、重要な変化が生じた場合にはリスク評価の見直しを実施しています。
気候変動に関連する物理リスクについては、ESG推進室をはじめとする本社関連部門と事業部門が連携してリスクを評価しています。その結果を踏まえ、各事業責任者の統括の下、生産、調達、店舗開発などの部門が連携し、必要な対応策を策定・実行しています。
また、気候変動に伴う事業環境の変化による移行リスクについては、シナリオ分析の結果を各事業部門のサステナビリティ/ESG担当者や環境、品質保証、調達などの関連部門と共有し、事業特性に応じた対応策の検討・実施を進めています。
さらに、将来的な炭素税や排出量取引制度などのカーボンプライシングによる財務影響の評価、再生可能エネルギー導入および省エネルギー施策の費用対効果分析にあたり、内部炭素価格(ICP)を活用しています。ICPには、IEA World Energy Outlook(WEO)で公表されているシナリオ別・地域別の炭素価格を使用し、気候関連リスクの評価や対応策の検討に活用しています。

水リスク評価
気候変動に伴う自然災害の増加や激甚化、および水不足は自社拠点における操業だけでなく、原料調達、顧客側の生産‧ 販売などサプライチェーンなどへも影響を与えるおそれがあります。HOYAグループでは国際環境 NGOの世界資源研究所(WRI)によるAqueduct Water Risk Atlasのツールなどを活用し、さらに拠点からのヒアリングをおこないながら生産拠点の洪水リスクおよび水ストレスリスクを評価しています。
グローバルな視点で効率的な企業運営をおこなうため、最適地での経営判断、研究開発、生産、販売を推進しており、特に生産は東南アジアを中心に拠点を構えています。リスク評価の結果、ベトナム‧タイ‧インドネシアなどの東南アジア生産拠点の洪水リスクが比較的高い結果となりました。リスクが高いと判断された拠点については、本社の環境‧ 安全衛生部と連携し、対応策の策定や施策の実行を重点的におこなっています。
› 水ストレスリスク

水リスク対策
リスクの高い拠点については、本社環境‧ 安全衛生部が現地を訪問し、洪水‧ 水ストレス‧排水(汚染)といった水リスク全般に対する対応策の実効性を確認しています。 具体的な対策としては、BCP(事業継続計画)の初動対応や生産再開の復旧計画の確認‧ 見直し、洪水リスクに対する設備の床上げなどの浸水対策、水不足を想定した対策などを進めています。特に、2011年にタイの生産拠点で経験した洪水被害を教訓に、BCP構築‧ 定期的な見直しや、従業員の安全確保に向けた体制整備‧ 訓練を推進しています。さらに、洪水リスクの比較的低い拠点への生産分散や、サプライチェーン寸断を想定した適正在庫の確保など、多角的な観点から水リスクの低減に継続的に取り組んでいます。

カーボンオフセット

2022年より「JALカーボンオフセットプログラム」に参加し、国内発着のJAL便による出張フライトで排出された CO₂に対して、南部カルダモン地域やアマゾン地域の熱帯雨林保護プロジェクトのカーボンクレジットを調達しています。これらのプロジェクトは、熱帯雨林保護によるCO₂吸収効果のみならず、野生生物の保護、生態系の維持、地域住民の生活支援といった観点からもこの地域の保護は非常に重要とされており、カーボンクレジットの購入を通じてプロジェクトを支援しています。2025年度はCO₂約258トン分を償却、198トン分を購入しました。
(GHG排出量の報告値には、カーボンクレジットによる排出削減効果は反映していません)
※ VCS(Verified Carbon Standard)により認証されたカーボンプロジェクトです。