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ライフケア事業

ヘルスケア関連製品

メガネレンズ

市場環境

世界的な老齢人口の増加、子どもの近視率の増加、デジタルライフスタイルによるスクリーンタイムの増加などの要因により、近視の急速な進行は世界的な健康問題となっています。また、健康やウェルビーイングに対する意識が世界的に高まっています。こうしたなか、新興国の経済成長による購買力の向上や目の健康に対する意識の高まりもあり、メガネレンズ市場は今後も安定した成長が見込まれています。
なお、世界的に不透明な経済環境が続いていますが、メガネレンズは生活必需品であることや欧米諸国では民間・公的保険による償還対象品であることなどから、比較的景気の影響を受けにくいと考えられます。

近視人口の推移予測

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当社の状況

事業内容

メガネレンズの原料である樹脂などを素材メーカーから調達し、レンズを製造、チェーン店や独立系も含むメガネ店に卸しています。

「生涯にわたる視力ケアソリューションを提供する」というミッションの下、一般的な単焦点レンズから高齢者向けの累進レンズ、小児近視進行抑制用レンズまで、あらゆるライフステージに対応する多種多様なレンズを提供しています。 お客様に最高の製品をお届けすべく、光学設計/レンズコーティング/調光レンズ*などの機能性向上に向けた研究開発に継続的に注力していきます。

なお、地域別では欧州、次いで米州の売上高が大きく、海外売上高比率は約9割にのぼります。世界各地に製造拠点があり、特にタイとベトナムでの生産量が多くなっています。

* 紫外線に反応し、色の濃度が変化するレンズ

市場ポジション

当社は業界2番手であり、オーガニック成長に加え、M&Aにより市場シェアを拡大しています。市場シェアの3割弱が多数の中小規模レンズメーカーにまたがっており、こうした競合からのシェア奪取や買収を通じて、当社は継続的にシェア拡大を図っていきます。

地域別の状況

市場としては成熟しているものの、売上の約7割を占める欧米は今後も重要な市場と位置付けています。なかでも、米国については市場プレゼンスを拡大する余地が十分あり、現地法人の組織体制と販売力の強化を推し進めています。また、アジアにおいては中国市場の成長が著しく、当社はMiYOSMART(後述)をきっかけに中国での売上を大幅に成長させることができています。

今後の見通し

メガネレンズは、HOYAグループで最も売上規模が大きく、またライフケア事業の拡大をけん引する成長ドライバーです。

各地域における現地ラボの強化、グローバルな製造能力やリダンダンシーを高めることで、顧客の体験価値向上を図り、世界中のメガネ店/眼科医療従事者との関係を一層強固なものとしていきます。

各ライフステージの視力矯正ニーズに対応するための技術革新も重要です。なかでも、より良い視力を得るための治療的なソリューションが注目を集めています。小児近視進行抑制用レンズであるMiYOSMARTは、2018年の発売以来、世界で400万枚以上販売しており、当社は当製品カテゴリーをリードしています。同製品は現在30カ国以上*で販売されていますが、今後はサングラス版や調光レンズ版の発売に加え、新たな市場にも展開していく予定です。

地域の面では、成長性の高い新興市場、なかでも中国における営業活動を強化し、市場シェアの拡大を図っていきます。また、独立系のメガネ店への売上比率が高い米国において、チェーン店向けビジネスのプレゼンス拡大を目指します。顧客へのリーチ拡大のために、M&Aも活用していきます。

これらの取り組みにより、従来の成長率(1桁前半~半ば)よりも高い成長性を目指していきます。

市場シェア
(2022年度)

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(当社推計、金額ベース)

地域別売上高構成比
(2022年度)

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MiYOSMART

* 2023年8月時点本邦未承認品です。
詳しくはMiYOSMARTオフィシャルサイトをご参照ください(英文のみ)

コンタクトレンズ

市場環境

わが国におけるコンタクトレンズ小売市場は、少子高齢化を背景に、1%程度の緩やかな成長となっています。

直近の年度においては、新型コロナウイルス感染の沈静化による外出機会の増加により、コンタクトレンズの装用回数が回復し、市場は通常よりも高い成長率となりました。また、新型コロナウイルスをきっかけに、インターネット経由でのコンタクトレンズ購入機会が増加したと思われます。

若年層の近視率の上昇や、遠近両⽤コンタクトレンズの普及による装⽤者年齢の上昇に伴う需要増や、高付加価値レンズの販売増による平均販売単価の上昇などにより、今後も市場はわずかながらも拡大していくと推定しています。

当社の状況

事業概要

日本全国に約360店舗展開するコンタクトレンズ専門小売店アイシティを運営しています。アイシティでは、お客様一人ひとりに合った最適な商品をご提案するコンサルティング販売と、世界中の大手メーカーから取りそろえた幅広い商品ラインナップを強みとしています。店舗は駅の近くや、ショッピングセンター内など、利便性の高い立地にて展開しています。また、近年増加するオンライン購入へのニーズに対応する「おトク定期便」「ほしいとき便」を展開しており、好評を博しています。

また、2022年3月より自社ブランドのコンタクトレンズhoyaONEシリーズの製造・販売を開始しました。コンタクトレンズ小売チャネルを有する強みを活かした垂直統合型の戦略を推進していきます。

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市場ポジション

コンタクトレンズ販売チャネルのうち、最も大きなカテゴリーであるコンタクトレンズ専門店において50%以上のシェアを擁しています。コンタクトレンズ専門店はラインナップの豊富さや価格の優位性などから、今後も眼科チャネル等からのシェアの移転が進むと予想されます。

一方で、近年はインターネット通販のシェア拡大が進んでおり、同チャネルにおける対応が市場ポジションを左右すると思われます。

今後の見通し

当社はこれまで、毎年15-20店舗出店することで面を拡げる戦略をとってきましたが、店舗数が全国で約360店と高い水準に到達したことに鑑み、成長戦略の転換を進めています。

具体的には、既存店における顧客リテンションの改善、高付加価値品による顧客単価上昇を図ることによる成長を目指しています。

また、拡大するインターネット通販へのニーズに対応すべく、「ほしいとき便」「おトク定期便」をはじめとするオンライン販売サービスの強化を推し進めていきます。

以上に加えて、プライベートブランドhoyaONEシリーズの販売に注力し、1桁半ばの成長率を目指しています。

販売チャネル別売上高
構成比(2022年度)

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コンタクトレンズ専門店での
HOYAのシェア
(当社推計、金額ベース)

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メディカル関連製品

医療用内視鏡

市場環境

社会の高齢化に伴い、世界的に医療費が増加しています。 各国政府が医療費増加の抑制のために、疾病の早期発見および低侵襲医療を推奨するなか、患者の体にメスを入れずに体への負担を極力抑える低侵襲治療へのニーズから、内視鏡に対する注目が高まっています。

内視鏡機器市場は、先進国において成長が緩やかになっていますが、内視鏡の普及段階にあるアジアにおいて高い成長が続いており、なかでも中国が今後のグローバル市場の成長をけん引すると見られます。

当社の状況

事業概要

消化器、耳鼻咽喉、呼吸器などの検査や処置に使われる医療⽤の軟性内視鏡の研究開発‧製造‧販売をおこなっています。軟性内視鏡は、患者の体内に挿入するスコープと、画像処理等をおこなうビデオプロセッサーを含む本体で構成され、これを医療機関、医療機関の共同購買組織、販売代理店などに対して販売しています。

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市場ポジション

高画質化、超音波内視鏡、画質‧外径‧チャンネルサイズのバランスの取れた細径内視鏡、洗浄消毒性に配慮した製品を強みに、グローバルでシェア3位となっています。

地域別の状況

地域別に見ると、欧州をはじめとする海外での売上高が大部分を占めています。

今後の見通し

高齢化社会の進展や低侵襲医療への需要拡大により、医療用内視鏡の市場は1桁半ばから後半の成長が予想されます。

短期においては、新型コロナウイルスからのリオープニング(経済再開)により、医療機関における内視鏡利用の増加ならびに新規購入・買い替え需要の増加が継続すると見られます。他方、画像処理をおこなうプロセッサー向けの電子部品の供給量は徐々に増えてきているものの、需要を完全に充足できるようになるにはまだ時間がかかる見込みです。

以上のような環境下で、2023年度はシングルユース内視鏡の販売地域の拡大や、新製品であるハイエンド・ビデオプロセッサーおよびビデオ消化器スコープの各国での上市を予定しています。

市場シェア(2022年度)

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(当社推計、金額ベース)

地域別売上高構成比(2022年度)

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PENTAX Medical ONE Pulmo
(シングルユース気管支内視鏡)

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PENTAX Medical INSPIRA™ Video Processor EPK-i8020c, i20c series scope
(ハイエンドビデオプロセッサー、ビデオ消化器スコープ)

白内障用眼内レンズ

市場環境

世界的な高齢化、新興国での医療インフラの普及、先端医療技術へのアクセシビリティの向上などを背景に白内障用眼内レンズに対する需要は増加しています。白内障は、水晶体が白く濁り視力が低下する病気で、加齢により高い確率で発症し、世界において最大の失明要因となっています。白内障手術により、白濁した水晶体を摘出し、代わりに眼内レンズを挿入します。
従来型の単焦点レンズに加え、近年は三焦点や焦点深度が深いタイプといったハイエンド製品の市場投入により、1桁半ばの市場成長となっています。
短期的には、新型コロナウイルスの影響からの回復が遅れていた日本などで通常よりも高い成長率が見られています。

当社の状況

事業内容

白内障用眼内レンズ(IOL)および眼科医療器具の研究開発‧製造‧販売をおこなっています。
30年以上にわたる眼内レンズ事業における知見に基づき、数百万人に及ぶ白内障患者の視力とQuality of Lifeの改善に貢献しています。

HOYAの強みである光学技術と眼内レンズ用インジェクター開発の知見を組み合わせたプリロード式眼内レンズはグローバル市場で高い評価を得ており、同製品カテゴリーにおいてグローバル市場でトップシェアを有しています。

※眼内レンズがインジェクターの中にあらかじめ装てんされており、より安全で確実な手術が可能となります。

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Vivinex™

市場ポジション

市場シェアは順調に拡大しており、現状はグローバルで3位となっています。
当社は主力製品であるVivinex™(2015年に上市)の製品競争力により、市場を上回るペースで成長を続けています。Vivinex™は透見性の高いレンズ素材と独自技術を兼ね備えたインジェクターmultiSert™を組み合わせた製品で、安全で確実な白内障手術を可能にするソリューションを提供しています。

地域別の状況

売上高を地域別に見ると、日本国内での売上が4割となっています。

継続的に販売対象国を拡大させており、海外売上比率が高まってくる見込みです。

今後の見通し

今後は付加価値の高い三焦点眼内レンズ(Vivinex Gemetric)の販売を拡大することで、より幅広い顧客のニーズや期待に応えていきます。

また、既に営業拠点のある地域の営業人員の強化はもちろん、プレゼンスのない地域についても販売子会社の設置や販売代理店等を通じて順次参入することでTAM(Total Addressable Market)の拡大を図ります。なお、2023年1月には、眼内レンズの需要が高まる韓国に販売子会社を設立しました。

以上の取り組みにより、眼内レンズの市場成長率(1桁半ば)を超える成長を図っていきます。

市場シェア(2022年度)

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(当社推計、金額ベース)

地域別売上高構成比
(2022年度)

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セラミックス製人工骨‧金属製整形インプラント

市場環境

日本における高齢化に伴う骨折や疾患の増加により、その治療に有効な整形外科・脳神経外科向けのインプラントの市場は今後も成長が継続する見通しです。

当社の状況

事業内容

骨の欠損部の補てんや、骨折部の接合に使われるセラミックス製人工骨および金属製のインプラントを開発・製造し、主に日本国内の医療機関に供給され、多くの患者様の治療に貢献しています。

市場ポジション

当社はセラミックス製市場において、日本で初めて人間の骨とほぼ同成分を持つアパタイト製品を製造・販売し、常に日本市場をリードしてきました。金属インプラントに関しては2012年に日本ユニテックとの経営統合により市場へ参入し、日本人の骨格に最適な形状やサイズのインプラントの製造‧販売をおこなっています。特に橈骨遠位端骨折向けインプラントでは幅広い製品ラインナップを展開し、市場シェアトップとなっています。(症例ベース・当社調べ)

今後の見通し

セラミックス製人工骨でのシェアを維持しながら、新たな用途の開拓により、市場の拡大を図ります。金属製インプラントでは製品ラインアップの拡充や営業力の強化により患者様や医療機関のニーズに応えます。またセラミックス製人工骨と金属のインプラントの両方を製造・販売をおこなっている強みを生かし、両素材の製品を組み合わせた新しい手術手技の提案により他社との差別化を図ります。

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バイオアクティブセラミックス製インプラント「バイオペックス」

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橈骨遠位端骨折向け金属製整形外科用インプラント「HTS Stellar D」

クロマトグラフィ用担体

市場環境

バイオ医薬品の開発‧製造に不可欠な、分離‧精製用担体(クロマトグラフィ用担体)市場は、バイオ医薬品市場の拡大に伴い、今後グローバルで10%超の高い成長率が見込まれています。

当社の状況

事業内容

クロマトグラフィ用バイオセラミックス担体を製造し、ディストリビューターを介して販売され、世界中の製薬企業や研究機関で採用されています。

市場ポジション

バイオ医薬品の分離・精製には、さまざまな方法がありますが、当社の球形ハイドロキシアパタイトセラミックス担体は、各種タンパク質に高い吸着特性を有しているため、精製プロセスにおいて、不純物の効率的な除去と高い分離性能を持つユニークな製品として、市場から高い評価を得ています。

今後の見通し

抗体医薬、ワクチン、さらには遺伝子治療など、多様化するバイオ医薬品のニーズに対応するため、顧客や研究機関と協力して、製品・精製プロセスの開発を加速させるとともに、また増加する需要へ対応するため生産能力を拡大することでさらなる成長を図ります。

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クロマトグラフィ用担体(拡大画像)