ライフケア事業

ヘルスケア関連製品

メガネレンズ

事業内容

メガネレンズの研究開発・製造・販売をおこなっています。

一般的な単焦点のメガネレンズはもちろん、手元から遠方までシームレスに見えるように度数が変化する累進多焦点レンズや、屋外では太陽光で半透明に、室内では透明にレンズの色が変わる調光レンズなど、幅広いライフステージや生活シーンに対応したレンズ製品を取り扱っています。

地域別では欧州、次いで米州の売上高が大きく、海外売上高比率は約9割にのぼります。

メガネレンズ

サプライチェーン

部材メーカー→レンズメーカー(HOYA)→メガネ小売店

マーケット状況

今後、世界的な老齢人口の増加、新興国の経済成長による購買力の増加、目の健康に対する意識の高まりや、デジタル機器の使用時間の増加による視力の低下などにより、メガネレンズの需要は継続して世界的に増加し、中長期的に一桁前半の市場成長を想定しています。

新型コロナウイルスの影響に関しては、各国におけるワクチン接種の進捗と経済活動の再開に伴い、事業の正常化が進んでいます。

ウクライナにおける紛争に関しては、当社は東ヨーロッパ(ロシア、ウクライナ、ベラルーシ)において事業活動を行っており、現在はロシアにおける事業を一時的にヘルスケア関連のものに限定し、国際貿易制限の範囲内で事業活動をおこなっています。2021年度においてメガネレンズ製品の当3国における売上収益が同製品グローバルの売上収益に占める割合は1%でした。

なお、当社はウクライナに対して人道支援をおこなっています。詳しくはこちらをご覧ください。

HOYAのポジションと市場シェア

地域により成長速度は異なりますが、成熟市場である北米、欧州、日本は引き続き市場の中で重要な役割を果たすと想定しています。また、南米やアジアなどの新興国では、視力矯正製品がより入手しやすくなり、また中間所得層人口が増加する中で、さらなる成長が期待されます。

当社は業界2番手であり、オーガニック成長に加え、2013年にSEIKOのメガネレンズ部門、2017年には⽶Performance Optics社など、M&Aにより市場シェアを拡大しています。

HOYA今後の見通し

メガネレンズは、ライフケア事業売上の約50%を占める製品であり、事業の拡大をけん引する成長ドライバーです。

市場成長の続くアジア(特に中国)や、南⽶において営業活動を強化し、市場シェアの拡大を図っていきます。また、独立系のメガネ店への売上比率が高い米州において、チェーン店への拡販をおこない、市場シェアの拡大を図っていきます。ターゲットエリアとビジネス機会への注力により市場以上の一桁前半から半ばのオーガニック成長を目指します。また、さらなる成長のためのM&Aの機会を引き続き追求していきます。

生産面では、拡大する需要への対応や生産地の多様化のためにグローバルに投資をおこなっています。

地域別売上高構成比
(2021年度)
市場シェア(2021年度)

(当社推計、金額ベース)

近視の急速な進行は世界的な健康課題となっています。2050年には世界人口の半分にあたる50億人が近視の影響を受ける可能性があると言われています。

近視進行抑制分野においてHOYAは香港理工大学と共同で革新的な小児用近視進行抑制メガネレンズ「MiYOSMART」を開発しました。「MiYOSMART」は、子供の近視の進行を抑制することが実証されています。2018年に商品化され、現在はアジア欧州を中心に販売しており、大きな成長が続いています。今後は順次認可を取得し、販売地域を拡大していく予定です。
(2022年8月現在、日本‧米国では未承認です。)

近視人口の推移予測
MiYOSMART
出典:Holden B. A. et al. Global Prevalence of Myopia and High Myopia and Temporal Trends from 2000 through 2050. Ophthalmology. 2016 May;123(5):1036-1042

コンタクトレンズ小売

事業内容

コンタクトレンズ専門小売店「アイシティ」を日本国内において展開しています。

「アイシティ」では、お客様一人ひとりに合った最適な商品をご提案するコンサルティング販売と、世界中の大手メーカーから取りそろえた幅広い商品ラインアップを強みとしています。

店舗は駅の近くや、ショッピングセンター内など、利便性の高い立地にて展開しています。


マーケット状況

国内コンタクトレンズ小売市場はコロナの影響による在宅勤務や自宅学習機会の増加、外出機会の減少などによりコンタクトレンズの使用頻度が減少したことで一時的に市場が縮小しましたが、新型コロナウイルスの感染状況が一進一退を繰り返しており、注意を要する状況ではあるものの、店舗のトラフィック増加により販売が堅調に推移しています。(今後、行動制限などがあった場合にはマイナスの影響が予想されます)

今後の市場見通しについては、若年層の近視率の上昇や遠近両⽤コンタクトレンズの普及による装⽤者年齢の上昇といったコンタクトレンズ需要増加、高付加価値レンズの販売増による平均販売単価の上昇などにより、今後も僅かながら拡大していくと推定しています。

販売チャネル別には、インターネット通販がシェアを拡大、コンタクトレンズ専門店のシェアについては安定的に推移すると見込んでいます。

販売チャネル別売上高
構成比(2021年度)
販売チャネル別売上高 構成比(2021年度)
コンタクトレンズ専門店でのHOYAのシェア
(当社推計、金額ベース)

HOYAのポジションと市場シェア

当社は、実店舗での販売を行う小売チャネルにおいてシェア1位となっています。

付加価値製品の訴求などによる既存店の売上成長に加えて、M&Aを含む新規出店により売上の拡大を図っています。また、近年拡大しているインターネット通販に対応し、「ほしいとき便」「おトク定期便」としてオンライン販売サービスを提供しており、特にコロナ感染拡大期において多くの方々にご利用いただいています。

お客様一人当たり単価推移(2017年度を100とする)
国内アイシティ店舗数推移

HOYA今後の見通し

今後については、高付加価値品の拡販や市場ニーズの高い宅配サービスの訴求などによる既存店の売上成長とともにM&Aを含む新規出店により、継続的に5%程度の売上成長を図っていきます。

新規出店時には、コンタクトレンズ装用人口、市場成長率、競合状況を切り口に地域を細かく分析し、都心部や地方都市、大型ショッピングセンターを中心に出店をおこなうとともに、同一商圏内での店舗移動を適宜実施することで効率性を向上していきます。また、地域に根ざしたコンタクト専門店などを対象としたM&Aの機会を積極的に活用し、成長を加速させていきます。

インターネット通販に関しては、市場ニーズの高まりを受け、消費者に対して定期的もしくは必要に応じて注文できる宅配サービスを訴求していきます。また、今後もシェア拡大を見込むインターネット通販チャネルへの対応の検討を開始しています。

メディカル関連製品

医療用内視鏡

事業内容

消化器、耳鼻咽喉、呼吸器などの検査や処置に使われる医療⽤の軟性内視鏡 の研究開発‧製造‧販売をおこなっています。


サプライチェーン

部材メーカー→内視鏡メーカー PENTAX(HOYA)→顧客:医療機関、共同購買組織、代理店

地域別売上高

地域別に見ると、欧州をはじめとする海外での売上高が大部分を占めています。

マーケット状況

社会の高齢化に伴い、世界的に医療費が増加しています。 各国政府は、医療費増加の抑制のために、疾病の早期発見および低侵襲医療を推奨しています。
また、患者様の体にメスを入れずに体への負担を極力抑える低侵襲治療へのニーズから、内視鏡に対する注目が高まっています。

内視鏡機器市場は、日⽶欧などの先進国地域において成長が緩やかになっていますが、内視鏡の普及段階にあるアジア、特に中国において高い成長が続いています。中国市場に関しては、今後もグローバル市場の成長をけん引するという見方に変わりありませんが、中国政府機関による入札で中国国産製品を優先する政策が進められており、中国外の医療機器メーカーは現地生産を求められています。

地域別売上高構成比(2021年度)
地域別売上高構成比(2021年度)

2021年度は医療機関の投資意欲回復や新型コロナウイルスからの反動増などで市場の成長が続いていますが、世界的な電子部品の供給不足により内視鏡の需給がタイトになっています。半導体の供給量は徐々に増えていますが、不安定な状況です。

中長期にグローバルで7%前後の内視鏡機器の市場成長率を当社では想定しています。

PENTAX Medical ONE Pulmo
PENTAX Medical ONE Pulmo

HOYAのポジションと市場シェア

高画質化、超音波内視鏡、画質‧外径‧チャンネルサイズのバランスの取れた細径内視鏡、公衆衛生に配慮した製品を強みに、当社は業界2番手グループとなっています。

地域的には、売上の約半分を占める欧州において安定的に収益を確保しつつ、アジア、⽶州での営業活動を強化することで成長を図ります。

製品に関しては、軟性内視鏡市場の主戦場である消化器向け製品への取り組みを着実に行いながら、内視鏡と組み合わせて使⽤する処置具や、使い捨て内視鏡のさらなる開発を進め、差別化を図っていきます。

市場シェア(2021年度)
市場シェア(2021年度) (当社推計、金額ベース)

使い捨て内視鏡は、2021年5月に当社初となる使い捨て気管支内視鏡「PENTAX Medical ONE Pulmo」のCEマーク認証を欧州にて取得しました。今後欧州での販売を拡大するとともに他地域での承認を取得していきます。当社は目的や状況に応じて従来型と使い捨ての使い分けを提案できることや、使い捨て内視鏡にも従来型同等の高画質、吸引力と操作性を実現していることが強みです。使い捨て内視鏡は現状では従来型の内視鏡を大きく置き換えるほどの存在には至っていません が、中長期的には存在感が高まってくると予想しており、その布石として位置づけています。

白内障用眼内レンズ

事業内容

白内障用眼内レンズ(IOL)および眼科医療器具の研究開発‧製造‧販売をおこなっています。

約35年にわたる眼内レンズの開発と製造にもとづいて、HOYA Surgical Opticsは数百万人に及ぶ白内障に苦しむ患者様の視力とQuality of Lifeの改善に貢献する事をミッションとしています。

白内障は加齢により高い確率で発生し、世界において最大の失明要因となっています。白内障は手術により治療する事が可能で、世界で最も多く実施されている手術の一つです。白内障手術により、白濁した水晶体を取り出し、代わりに眼内レンズを挿入します。

HOYAの強みである光学技術と眼内レンズ‧インジェクター開発の知見を組み合わせたプリロード式眼内レンズはグローバル市場で高い評価を得ています。この製品カテゴリー(プリロード式眼内レンズ)においてはグローバル市場でトップシェアを有しています。

※プリロード式とは、眼内レンズがインジェクターの中にあらかじめ設置されており、術者による、より安全で確実な手術が可能となります。

Vivinex™

サプライチェーン

部材メーカー→レンズメーカー(HOYA)→顧客:医療機関、代理店

地域別売上高

売上高を地域別に見ると、日本国内での売上が約半分となっています。

マーケット状況

世界的な高齢化、新興国での医療インフラの普及、先端医療技術へのアクセシビリティの向上などを背景に市場は年7%程度の成長を続けており、多焦点や焦点深度が深いタイプの眼内レンズなどのハイエンド製品が市場の成長をけん引しています。

2021年度は国・地域により違いはあるものの新型コロナウイルス影響からの回復が進みました。今後は回復の遅れている日本において白内障手術件数が回復し、成長軌道への回帰を想定しています。

HOYAのポジションと市場シェア

当社は主力製品であるVivinex™(2015年に上市)の製品競争力により、市場を上回るペースで成長を続けています。Vivinex™は透見性の高いレンズ素材と独自技術を兼ね備えたインジェクターmultiSert™を組み合わせた製品で、安全で確実な白内障手術を可能にするソリューションを提供しています。

市場シェアは順調に拡大しており、現状はグローバルで3位となっています。

HOYA Surgical Optics
地域別売上高構成比(2021年度)
市場シェア(2021年度)
(当社推計、金額ベース)

HOYA今後の見通し

今後はさらに収益性の高い老視矯正眼内レンズ市場向けの三焦点眼内レンズの販売を拡大することで、顧客のニーズや期待に包括的に応えていきます。

また、既に営業拠点のある地域の営業人員の強化や、直接/間接(販売代理店との協業)問わず新たな地域に順次参入することで顧客へのリーチを拡大し、売上拡大を図ります。今後マーケット拡大が見込まれる中国においては、2020年5月に販売代理店のGeMax社と合弁会社を設立し、売上増に大きく寄与しています。

人工骨・金属製整形インプラント・クロマトグラフィ用担体

事業内容

骨の欠損部の補填や、骨折部の接合に使われるセラミック製および金属製のインプラントや、バイオ医薬品の開発・製造や細胞培養に使われるバイオセラミックスを取り扱っています。
インプラントは主に日本国内の医療機関に向けて、クロマトグラフィ用バイオセラミックス担体はディストリビュータにより世界中の製薬企業や研究機関に向けて販売されています。

バイオアクティブセラミック製インプラント「バイオペックス」
金属製整形外科用インプラント「HTS Stellar D」
クロマトグラフィ用担体(拡大画像)

マーケット状況、HOYAのポジションと市場シェア

日本における脳神経・脊椎脊髄外科向け、整形外科向けのインプラント市場は高齢化の進展により、一桁前半の成長率が見込まれています。脊椎脊髄末梢神経外科向けインプラント市場において、当社は日本で初めて人間の骨とほぼ同成分を持つアパタイト製品を製造・販売したことから市場をリードしています。整形外科向けインプラントに関しては、当社は2012年に日本ユニテックとの経営統合により参入しました。日本人の骨格に最適な形状や大きさの金属インプラントの製造・販売を行っています。

バイオ医薬品の開発・製造に使われる分離・精製用担体(クロマトグラフィ用担体)市場は、バイオ医薬品市場の拡大により、今後グローバルで約10%の成長率が見込まれています。分離・精製方法の違いに応じて異なる担体が使われますが、当社の球形ハイドロキシアパタイトセラミックス担体は、各種タンパク質に極めて高い吸着特性を有しており、バイオ医薬品の精製プロセスにおいて、不純物除去性能の高さと分離性能の良さを強みとして市場にユニークな製品を提供しています。

今後の見通し

製品ラインナップの拡充、新たな用途の開拓、営業力の強化により成長を加速させていきます。 インプラントにおいてはセラミックでの現状のポジションを維持し、さらに新たな用途の開拓による市場の拡大を図り、金属では製品ラインナップの拡充や営業力の強化によりシェアを拡大することで、インプラント全体としての成長加速を図ります。クロマトグラフィ用バイオセラミックス担体は、抗体医薬、ワクチン、さらには遺伝子治療など多様化するバイオ医薬品のニーズに対応するため、顧客や研究機関と協力して、製品・精製プロセス開発を加速させるとともに、増加する需要に対応するため生産能力を拡大することで、さらなる成長を図ります。