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持続的成長を実現する
経営判断とガバナンスの深化

モデレーター:本日は、お時間をいただきありがとうございます。昨年度は中長期成長や投資判断の規律といった、テーマを中心に議論いただきましたが、本年度はこの1年間で実際にどのような進展があったのかを、具体的な動きを踏まえて伺えればと思います。HDD基板やEUVブランクスでの投資意思決定、課題事業への対応、資本政策の見直しなど、いくつか大きな動きがありましたので、まずは成長投資の意思決定からお聞かせください。今回、MDとマスクブランクスで合計920億円という大型投資が決定されています。HOYAとしても最大級の投資判断だと思いますが、この判断に至る背景についてどのように見られていますか?

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需給を見極めた
堅実な投資判断

筆頭独立社外取締役
監査委員会委員長 指名委員 報酬委員
ヘルスケア‧コンプライアンス委員
吉原 寛章

吉原:「やはり需給の構造が出発点です。需要がかなり先行しているなかで、それに供給能力を合わせにいく投資ですから、供給過多になってしまうような性質のものではないと見ています。HOYAのカルチャーとしても非常に堅実な判断だと思いますし、さらにこの領域はマーケットシェアが非常に高いので、将来の需要が実現する確度も高い。その意味では安心感はありますが、取締役会としては、その前提や議論にブレがないかを改めて確認したという位置付けです」

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技術優位で
市場構造を変革

独立社外取締役
報酬委員会委員長 指名委員 監査委員
佐藤 基嗣

佐藤:「構造的に見ても納得感があります。一見すると競争が激しくなりそうな成長市場であっても、HOYAは市場がまだ大きな注目を集めていない段階から投資を行い、技術力に加えて量産技術や顧客との関係を築いてきました。そのうえで需要を見極めながら供給を拡大しているので、単純な能力増強とは全く違う投資になっています。結果として参入障壁も高く、特定領域では非常に強いポジションを確立しているので、投資リスクも構造的に下がっていると見ています」

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意思決定と
実行の速さが強み

独立社外取締役
指名委員 報酬委員 監査委員
ヘルスケア‧コンプライアンス
委員会委員長
西村 美香

西村:「過去に需要が落ち込んだ局面の経験もありますが、その後、お客様との関係強化にかなり力を入れてきています。今は顧客のフォーキャストに依存するのではなく、ネットワークやほかの情報も含めて見極める力が明らかに上がってきている。それに加えて、この会社は意思決定も実行もとても速い。前回も日本企業では考えられないくらいのスピードで生産調整をやりきった。その能力がある会社だと思っているので、この規模の投資でも安心して判断できると感じました」

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蓄積された議論が
判断を支える

独立社外取締役
指名委員 報酬委員 監査委員
長谷川 隆代

長谷川:「取締役会のなかでも、普段から事業の方向性や顧客動向についてかなり深く議論されています。その積み上げがあるので、今回の投資についても細かい前提を一つひとつ確認するというより、『ああ、この流れでの投資ですね』と自然に理解できるものでした。事業の強さ、組織の強さ、それから説明の一貫性というのは大きいと思います」

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信頼関係が
意思決定を支える

独立社外取締役
指名委員会委員長 報酬委員 監査委員
ヘルスケア‧コンプライアンス委員
阿部 康行

阿部:「基本的には再確認という感覚に近いですね。HOYAの慎重さは皆分かっているので、そのうえで挙がってきている案件については、安心感があります。これまでのパフォーマンスも含めて、執行側との信頼関係がしっかりできているので、細かいプロセスを問い直すというよりは、この前提で問題ないですね、という確認です」

内部投資とM&Aの最適化

モデレーター:続いて、こうした投資判断の延長線上で、中期的な成長戦略として内部投資とM&Aのバランスをどう考えるかについてお聞きします。

吉原:「内部投資かM&Aかという二択で考えるものではなくて、会社として最大のリターンを上げるために、どの戦略を選択するのが最適かという視点で見ています。HOYAはマーケットリーダーのビジネスが多く、またその市場も成長しているという非常に恵まれた環境にあるので、その成長機会を確実に取り込むことがまず重要になります。その結果として、現時点では内部投資の優先順位が高く見えているだけであって、あくまで判断の軸は『どれが最適か』ということです」

西村:「HOYAは技術とともに、それを具体的にコスト競争力を有した生産プロセスに落とし込み、顧客に売り込む力で差をつけてきた会社だと思っていますし、実際に10年以上前から積み上げてきた研究が、今のIT事業のような形でしっかり実を結んできている。その意味で、社内にはまだまだワクワクするような種がたくさんあると感じています。そういうテーマに対して内部投資で取りにいくリターンは非常に大きいので、現状は内部投資を優先するという判断が自然だと思います」

佐藤:「M&Aももちろん重要な選択肢ですが、経済合理性だけでなくカルチャーの適合や自社の技術力への影響も含めて見ていく必要があります。M&Aに傾きすぎると内部の開発力が弱くなるリスクもあるので、そのバランスを踏まえて冷静に判断していくことが重要です」

長谷川:「どちらかを常に優先するというものではなく、その時々の事業環境や機会に応じて最適な手段を選んでいく、というスタンスだと思います」

阿部:「今のHOYAを見ると、社内に面白いテーマがかなりあるんですよね。そういうなかで、確実にリターンが見込めるものがあるのであれば、まずそこに投資するというのは非常に自然な判断だと思います」

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HILSと長期成長基盤

モデレーター:その流れで、長期の成長の種まきとして位置付けられているHOYA Incubation Laboratories (HILS)について伺います。

長谷川:「これまでグループ横断で技術を統括する機能がなかったことについては、ずっと問題意識がありました。その意味で、今回の取り組みは非常に面白いと思っています。ただ一方で、どういうテーマを選ぶのか、それをどう事業につなげていくのかというところは、まだ見えていない部分もある。そこは、これからしっかり見ていきたいと思っています」

吉原:「長期的にHOYAの将来像を語る場になると思います。夢を描くこと自体は重要ですが、それが夢で終わらないように、どう実現していくかまで含めて見ていく必要がある。そのプロセスをしっかり支えていきたいと思っています」

西村:「HOYAは事業部の力が非常に強いのが特徴ですが、長期的に見れば事業部のなかだけではできないことも出てくる。そういう意味で、事業部の枠を超えて取り組む場として、あるいは人材の横のつながりを作る場としても、HILSには大きな意味があると思います」

佐藤:「全社の技術シナジーを見ながら、事業領域を広げていく役割になると思います。時間軸は既存事業と大きく異なりますが、単なる研究にとどまらず、ビジネスにつながる形にしていくことが重要です」

阿部:「細かく管理するというよりは、ある程度、任せてやらせるべきだと思います。そのなかで何が出てくるかを見ていくべきで、それができる余裕がこの会社にはあると思っています」

吉原:「横山さん*の存在は、かなり大きいと思います。今回こういう取り組みが具体化した背景にも横山さんがいるでしょうし、人選としても非常に良い。プロセスや進捗をしっかり見て評価していきたいですね」

長谷川:「技術だけでなくビジネスや社会性も含めた形で評価していくフレームで見ていってほしいという話もしています」

佐藤:「研究者とビジネス人材の組み合わせという観点も重要になってくると思います」

課題事業とリスク管理

モデレーター:続いて、課題事業についてです。昨年度の議論でも課題事業への対応が大きなテーマでしたが、内視鏡事業の構造改革について、この1年の進捗をどのように評価されていますか?また、それ以外にグループ全体で課題と認識されている領域があればお聞かせください。

阿部:「正直、スタートまでに時間はかかったと思いますが、現状はまだ入り口に立った段階です。方向性は見えてきていますが、これからどういう手を打っていくかが本番だと思います」

佐藤:「CEOから中長期の戦略マップが示されて、そのなかでの具体的なアクションとして進んでいるという点は評価しています。方針と実行がきちんとつながっている」

吉原:「ポートフォリオマネジメントの一環として取り組まれているもので、HOYAの物差しで全事業を見ているということの表れでもあります。まだこれからではありますが、重要な取り組みだと思います」

西村:「究極的には、HOYAが求める利益率や資本効率の水準にはまだ達していないと思います。ただ、課題認識は共有されていて、それに対する手も打たれている。その意味では、安心感があります」

阿部:「もうひとつ、事業とは別の観点で言うとサイバーセキュリティです。ITインシデントから1年以上が経っていますが、一般論としてリスクは下がっているどころか、むしろ上がっていると認識しています。取締役会でも、しつこいくらいに何度も課題提起をしています。どこかの会社が必ず狙われる時代なので、最大の注意を払う必要があるし、仮に起きた場合にどうダメージを最小化するか、リスク低減まで含めて備えておくことが重要だと思います」

※編集注:内視鏡事業については、2026年7月31日開催の取締役会において、事業譲渡その他あらゆる戦略的選択肢の検討開始が決議されました。

資本政策と効率性

モデレーター:ここで資本政策について伺います。現預金水準を4,600億円と明確にし、資本効率を高める方針が打ち出されました。一部投資家からは、なお水準が高いという見方もありますが、この点はどのように考えていますか?

佐藤:「キャッシュリッチであることは事実ですが、資金需要を一番理解しているのは会社です。その前提で設定されている以上、会社としての考え方を丁寧に説明していくことが重要だと思います」

吉原:「キャッシュ水準の議論があるのは理解していますが、不確実性の高い経営環境と豊かな投資機会を考慮すれば、健全な水準だと考えています。今は、資本効率を含めた経営KPIを継続して高水準で維持するための議論を深めています」

阿部:「AIに引っ張られてボラティリティが高い環境でもありますし、そのなかでこの水準というのは妥当だと思います。短期的な見方だけで判断すべきではないと思います」

長谷川:「重要なのは、自分たちの資産をどう使っていくのかを経営としてきちんと説明することだと思います」

経営の質と実行力

モデレーター:最後に、この1年を振り返っての経営の質について伺います。配当方針の見直しや資本政策の明確化、HILSの立ち上げなど、大きく見えにくい部分も含めて着実な変化が進んでいると思いますが、どのように評価されていますか?

吉原:「まず売上・利益ともに過去最高で、モメンタムとしては非常に良い状態にあると思います。それに加えて、機会を取り込むスピードが非常に速い会社になっていると感じています」

西村:「就任当初に挙がっていた人材や組織の課題についても、年々進化が見えていると思います。池田さんらしい経営が徐々に形になってきている」

佐藤:「中期戦略をベースにポートフォリオを見直しながら着実に実行している。できないことを派手に言うのではなく、実際にやって成果を出しているという点で、非常に健全な経営だと思います」

阿部:「池田さんはCEO就任当初と比べると、安定感はまったく違います。さまざまな問いに対しても非常に真面目に100%答えるし、必要なデータもきちんと出てくる。やっていることに対する自信が出てきていると思います。一方で、今のAI関連の環境がこのまま続くのかという点については、冷静に見ていますし、その前提で次の打ち手も考えていると思います」

長谷川:「池田さんの技術への理解の深さと、全体への目配りの広さは非常に印象的です。この会社を一番よく知っている経営者だと感じますし、経営が安定してきたことで、より長期的な技術の取り組みにも踏み込めるようになってきていると思います」

*HOYA Incubation Laboratories(HILS)のエグゼクティブディレクター。1997年にHOYA入社後、情報・通信分野からライフケア分野にわたり、幅広い事業分野でキャリアを重ねる。HDD基板、メガネレンズなど情報・通信事業からライフケア事業にわたる幅広い事業領域において研究開発や知財戦略をリード。事業横断・機能横断の視点を活かし、HILSを牽引している。

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