FY24 売上収益分析
事業構成
セグメント別売上構成比は、ライフケア事業64%、情報・通信事業36%でした。さらに、各製品別の売上規模はツリーマップの通りであり、ライフケア事業ではメガネレンズ、コンタクトレンズの構成比が高く、情報・通信事業ではLSI、HDD基板の構成比が高くなっています。

地域別売上構成*
地域別売上構成では、アジアや欧米の比率が高く、日本の比率が比較的低いことが特徴です。また、セグメント別で分解すると、情報・通信事業の売上の80%以上をアジアが占めている一方で、ライフケア事業では欧州・米州・日本が売上の80%以上を占めています。
*販売仕向先の所在地によっております。

FY24の業績ハイライト
FY24 |
YoY |
増減% |
|
---|---|---|---|
売上収益(億円) |
18,660 |
+1,034 |
+14% |
ライフケア |
5,509 |
+209 |
+4% |
情報・通信 |
3,111 |
+828 |
+36% |
営業利益(億円) |
2,558 |
+234 |
+22% |
ライフケア |
954 |
-113 |
2-11% |
% |
17.3% |
-3p |
- |
情報通信 |
1,684 |
+601 |
+56% |
% |
354.1% |
+7p |
- |
当期利益(億円) |
2,021 |
+207 |
+11% |
1過去最高の売上を更新
2ITインシデントからの売上回復のため、積極的に販促費を投下し、ライフケア事業は減益に
3工場の高稼働が継続し、情報・通信事業の営業利益率は通常時より大幅に高い水準に
売上収益
FY24の売上収益は、情報・通信事業において顧客からの大幅な需要回復がけん引し、8,660億円と前年比+14%(CC +11%)増加しました。
ライフケア事業では、2024年3月末に発生した害意ある第三者によるサイバー攻撃によるITインシデントの影響や、中国市場において政府主導による政策の影響を一部受けたものの、メガネレンズにおいて積極的な販売促進活動の効果もあり、事業全体では+4%(CC +2%)の増収となりました。
情報・通信事業では、半導体用マスクブランクスならびにHDD基板の2製品で、顧客における在庫調整の影響を大きく受けたFY23からの反動増により、売上収益は+36%(CC +33%)と大幅増収となりました。
通常の営業活動からの利益
通常の営業活動からの利益は、2,558億円(+22%)と大幅な増益となりました。
ライフケア事業では、ITインシデントから売上を成長軌道に戻すべく、主にメガネレンズにおいて販促費を投じた結果、-11%(CC -13%)の減益となりました。通常の営業活動からの利益率は17.3%とベンチマークである20%を若干下回りました。
情報・通信事業では顧客からの強い需要に応えるべく、工場においてフル稼働が続き、通常よりも高効率な生産活動が継続し、通常の営業活動からの利益は+56%(CC +52%)、通常の営業活動からの利益率は54.1%となりました。
主要財務指標(5年間の推移)
売上収益

ライフケア事業と情報・通信事業という製品特性が大きく異なる2つの事業を展開することで、全体感のバランスを保ちながら、売上収益を順調に成長させてきました。FY24は過去最高売上を更新しました。
通常の営業活動からの利益・利益率

FY23は利益率の高い情報・通信事業の主力製品において一時的な調整があったため、わずかに減益となりましたが、おおむね右肩上がりに成長をしています。通常の営業活動からの利益率は30%前後と安定的に推移しています。
当期利益・EPS

当期利益を順調に成長させる一方で、毎期、一定程度の自社株買いを実行し、取得した自己株式を消却しています。そのため、当期利益成長率を上回るEPS成長率を維持しています。
今後も自社株買いを通じて利益成長を上回るEPS成長を実現させる考えです。
株主還元・株主還元FCF比率

フリーキャッシュフロー(FCF)の100%を株主の皆様に還元することを目指しています。近年、株主還元が自社株買いにやや偏っていたため、配当性向が低下していましたが、今後は新たな配当方針の下、配当と自社株買いのバランスをとっていきます(詳細後述)。
設備投資・減価償却

400億円前後で推移していた設備投資額ですが、半導体向けマスクブランクスおよびHDD基板の需要が中長期的に増加すること、またメガネレンズの持続的な成長を背景に、FY23頃からは500億円前後の水準となっています。セグメント別内訳は、ライフケア事業約60%、情報・通信事業約40%です。また、投資額の増加に伴い、減価償却費も増加傾向です。
総資産・現預金比率

事業規模の拡大に伴い総資産が拡大し、FY24末の総資産は1兆円を超えています。また、現金の大部分をUSドルで保有しているなか、近年の円安基調により現預金の水準が上昇を続けています。資本効率の観点からこれを課題として認識しており、成長投資や株主還元に必要な資金を勘案しながら、資本効率のさらなる向上を目指します。
配当方針の変更

当社は、中長期の成長に資する内部投資やM&Aを優先しつつ、残ったFCFについては100%を株主還元するというキャピタルアロケーションポリシーを掲げています。積極的に自社株買いをおこなってきた一方で、配当について定量的な目標が示されていないことや、近年において配当性向が低水準(20%前後)となっていたことをご指摘いただく声が増えていました。
以上の背景から、当社は2025年5月、配当性向40%の累進配当とする配当方針を新たに策定し、自社株買いと配当のリバランスをおこなうこととしました。