
投資対象としてのHOYAの実力
光学技術を基に多様な事業領域へ展開
HOYAは1941年の創業以来、長年にわたってガラスや樹脂等の加工技術・光学技術を発展させながら、メガネレンズから半導体製造に使われるマスクブランクスまで、幅広い領域へと事業ドメインを拡大してきました。その歴史のなかで培われた光学設計、成型、研磨といったコアコンピテンシーを継続的にアップデート・強化するとともに、その活用が見込まれる隣接領域での成長機会を開拓しています。
HOYA 80年の歩み

資本効率を重視した経営
当社は1990年代よりコーポレートガバナンスの改革を始めるとともに、資本効率重視の方針を取り入れ、強化してきました。 東証一部(現・東証プライム)上場以来、一度も赤字を計上せず、安定した利益成長を実現しており、積極的な株主還元を通じた余剰資金の株主還元により、過去10年においてEPS(1株当たり当期純利益)は年率2桁の成長を続け、ROE(自己資本利益率)も20%前後の高水準で推移しています。
取締役の人数の変遷
※青が社外取締役

EPS: 利益成長と自社株買いにより継続的に2桁成長

ROE: 高水準を保ちながら徐々に上昇

なお、当社の株主還元はこれまで自己株式の取得が基軸となっていましたが、配当を重視する株主・投資家の皆様のご意見も鑑み、2025年5月に配当性向40%の累進配当を軸とする新たな配当方針を発表しました。今後も成長投資を優先しつつ、余剰資金については100%還元を目指してまいります。
機動的な事業運営
当社の根幹を成す経営上の仕組みが四半期ごとの事業部別レビューです。日々の事業活動の経営判断は権限委譲がされており、それぞれの事業部の責任において執行されていますが、四半期に一度、事業部おのおのが直近四半期の定量・定性面での報告をおこない、執行役が「鳥の目」から「虫の目」で慎重にアセスメントをおこない、経営資源の配分を検討しています。事業計画に蓋然性が高い事業部は設備投資の資金などがより割り当てられ、結果として事業ポートフォリオが適者生存的な見地からより強化されています。また、外部環境がめまぐるしく変化するなか、年初に決めた事業計画に固執せず、臨機応変に戦略や数字目標の軌道修正をおこなうことで、機会の最大化とリスクの最小化を実現しています。

構造的な市場成長性
眼科領域:HOYAの中核を成す眼科領域は、長期にわたる構造的成長が見込まれます。世界的な高齢化の進行やデジタルデバイスの普及による近視人口の増加などにより、視力や眼の健康に関する問題がますます重要となっています。2050年には世界の近視人口が約半数にのぼるという予測もあり、なかでも子どもの近視有病率の上昇が社会課題となっています。当社では子どもから高齢者まで世代ごとの視力に関する問題に対して製品・ソリューションを提供するとともに、継続的なイノベーションを通じて世界中の人々の「見える」に貢献していきます。
世界の老齢人口(65歳以上)予測

出典:国際連合The 2024 Revision of World Population Prospects
世界の近視人口予測

出典:Holden BA, Fricke TR, Wilson DA, Jong M, Naidoo KS, Sankaridurg P, Wong TY, Naduvilath TJ, Resnikoff S, Global Prevalence of Myopia and High Myopia and Temporal Trends from 2000 through 2050, Ophthalmology, May 2016 Volume 123, Issue 5, Pages 1036–1042
情報・通信領域:生成AIやIoT、5G/6Gなどの次世代通信技術をはじめとするIT技術の進展に伴い、そのバックボーンとなるコンピューティングやデータ管理の進化が求められています。これらの技術の発達の根幹にある半導体技術は、オングストローム世代と呼ばれる原子数個分レベルの極めて微細な領域に到達しつつあり、また人類のあらゆる活動が膨大なデータとしてデータセンターなどに格納されています。HOYAは情報・通信領域を高成長事業と位置付け、半導体製造に不可欠なマスクブランクスや、HDD用のガラス基板などの高精度な製品を通じ、今日の生活に欠かせない情報・通信技術を下支えしていきます。
半導体微細化ロードマップ

世界のデータ流通量予測

出所:会社データ
重点成長領域
以上を背景に、当社では眼科領域を安定成長分野、情報・通信領域を高成長分野と位置付け、中でも下記の3事業を重点成長事業と捉え、注力しています。
安定成長 高成長 |
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メガネレンズ |
半導体製造用マスクブランクス |
HDD用ガラスサブストレート |
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市場 |
・社会の高齢化 ・近視率・近視人口の拡大 |
・半導体の微細化に伴う技術的発展 |
・世の中のデータ生成量/流通量の拡大 ・記録密度向上に向けた技術の進展 |
当社成長 |
・市場シェア拡大 ・累進レンズや調光レンズなどの高付加価値化 ・小児用近視進行抑制メガネレンズ |
・EUV先端ノードにおける市場プレゼンスの維持による市場成長の着実な取り込み |
・顧客基盤の拡大による長期におけるTAMの大幅拡大 |
各事業の詳細は事業概況のページをご参照ください。
新規事業の種まき
事業部の垣根を越えたコラボレーションを通じた新たな技術や製品の開発を進めるとともに、適宜M&Aを通じた非連続的成長を獲得し、会社の永続的な成長を図っていきます。
内部開発
XRプロジェクトの事例

M&A

眼科領域
視力等の改善に対応したレンズやデバイスを中心に探索

情報・通信領域
培ってきた光学の知見や顧客基盤などの経営資源が活用可能な半導体関連の部材や素材を中心に探索